2007年3月10日(土)「しんぶん赤旗」
安倍首相に「口利き」疑惑
官房副長官時代 産廃委託に業者推薦
参院予算委で井上議員追及
日本共産党の井上哲士議員は九日の参院予算委員会で、安倍晋三首相が内閣官房副長官時代に行ったとみられる「口利き」疑惑を内部資料を示し追及しました。二〇〇一年ごろ道路公団の傘下にあった二つの財団に対し、山口県下関市の会社のごみ処理車を推薦するよう働きかけたもの。安倍首相は「記憶にない」と否定しました。
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安倍氏は否定
下関市の会社は「トヨ・システムプラント」。同社の岡本豊之社長は安倍首相の地元後援会幹事長で、二〇〇五年の総選挙時には、安倍選対事務局長も務めています。
委員会で井上氏は、同社が開発したごみ処理車を財団法人「ハイウェイ交流センター」と同「道路サービス機構」に売り込む経過を記した文書を示しました。さらに、岡本社長名で〇一年四月二十日付で送信された、「内閣筋から直接、財団の理事クラスに当社機を委託組織に推薦するよう実働部隊の環境部門に伝達するよう電話で要請していただいた」とする「高速道路情報」と題したメールがあることを示しました。
井上氏は、「当時、安倍首相は内閣官房副長官。岡本社長は『内閣筋』とは『安倍晋三』氏のことだと販売代理店に説明したと聞いた。岡本社長の依頼を受け、電話で要請したのではないか」と質問しました。
安倍首相は「まったく分かりません」と答えました。
同社は経済産業省から、〇〇年六月と〇一年七月に合計約六千六百八十三万円の「新規産業創造技術開発費補助金」を交付決定されています。
政治資金収支報告書によると、安倍首相が代表を務める自民党山口県第四選挙区支部は〇二年一月、「トヨ・システムプラント」から五十万円の献金を受けており、井上氏は「『口利き』の謝礼ではないかと疑わざるをえない」と指摘。国からの補助金を受けた法人から交付決定を受けた日から一年間、献金を禁じた政治資金規正法違反の疑いもあります。
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「質問かえよ」と委員長
井上議員 「国政の問題」と反論
「外交・防衛等」をテーマに九日の参院予算委員会で集中審議が行われましたが、安倍晋三首相の「口利き」疑惑を追及した日本共産党の井上哲士議員に対し、尾辻秀久委員長が「外交・防衛等に関する集中審議の中での質問とは認めがたい」として質問を変えるよう求めました。これは自民、民主両党理事の委員会内での協議を受けて、尾辻委員長が判断したものです。
井上氏は「予算委員会は国政にかかわるすべての問題を議論する場だ。この問題は政治の信頼を取り戻すためにも必要だ」と反論しました。
井上氏の質問は突然行ったものでなく質問内容を事前に知らせ、それにもとづき政府側も答弁を準備していたものです。予算委員会の理事に対しても「政治とカネの問題について」と質疑内容を前日に通告していました。
「外交・防衛等ではない」という言い分も通用しません。同委員会では二〇〇四年三月二十三日に同じく「外交・防衛等」をテーマに集中審議が行われましたが、自民党の脇雅史議員の質問は「構造改革」だけの質問で終わっています。今回の集中審議では民主党議員も松岡利勝農水相の事務所費問題などをとりあげています。