「イラク撤退」盛り込む

下院民主党が方針発表

　【ワシントン＝山崎伸治】民主党のナンシー・ペロシ下院議長は八日、現在審議中の二〇〇七会計年度追加予算案に、遅くとも二〇〇八年末までにイラクから米軍を撤退させる方針を盛り込むことを明らかにしました。上院では民主党のハリー・リード院内総務が〇八年三月までに撤退の完了を求める決議案の提出を発表し、イラク開戦四周年を前に、撤退をめぐる議会の議論が本格化しそうです。

　ペロシ氏の提案はイラク撤退に「予定表」を設けるもので、〇八年八月末までに米軍を撤退させるとしたうえで、ブッシュ大統領に対し、イラク政府が軍事・政治・経済それぞれの面で到達すべき基準を達成しない場合には前倒しして今年七月に撤退を開始し、十二月末までに完了することを要求。さらにイランに対する武力行使に議会の承認を義務付けています。

　これに対し、ホワイトハウスのダン・バーレット大統領顧問はこの日の会見で、「このような法案には激しく反対し、最後には拒否権を発動する」と反発。共和党のジョン・ベイナー下院院内総務も「民主党は誤った命令を下している」と批判しました。

　反対の声は米軍の即時撤退を求める民主党議員からも起こりました。

　「イラク撤退議員連盟」の共同議長マキシン・ウォーターズ下院議員は、撤退の判断をブッシュ大統領にゆだねるものだとして、採決では反対する意向を表明しました。「進歩議員連盟」の共同議長リン・ウルジー下院議員らは、独自の修正案を準備。もう一人の共同議長バーバラ・リー下院議員が民主党指導部との協議も行っているもようです。

　一方、上院で民主党が提出予定の決議案は、それが採択されてから百二十日以内に撤退を開始するというものです。上院ではすでに二度にわたって、増派反対決議の採択が阻止されているだけに同党指導部も案文を練り直すなど慎重な姿勢です。