2007年3月10日(土)「しんぶん赤旗」

国は謝罪・賠償を

東京大空襲遺族ら112人提訴


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(写真)提訴のため東京地裁に向かう原告団と支援者ら=9日、東京都千代田区

 第二次世界大戦の末期に、米軍による空襲の被災者と遺族百十二人は九日、日本政府を相手に東京大空襲訴訟を東京地裁に起こしました。原告は政府に対し、「戦争の後始末をきちんとせよ」と謝罪と総額十二億三千二百万円の損害賠償を求めています。空襲被害者の集団訴訟は全国で初めてです。

 提訴後の記者会見で弁護団の中山武敏弁護士は、東京大空襲に至る過程で日本軍による中国の重慶爆撃が影響していたことを指摘。「戦争を開始し、戦後も被害者を放置してきた政府の責任を明らかにしていく」とのべました。

 また、一九八七年の最高裁判例である「戦争被害はすべての国民が等しく受忍しなければならない」として、民間人を援護法の対象外とした戦争被害受忍論に対し、法の下の平等と民間人被害の外国の補償制度を軸に訴えていくとのべました。「戦争だから仕方ないという司法の人権感覚をもう一度問うていく裁判にしたい」と語りました。

 「きょうの提訴でスタートした」という原告団団長の星野ひろしさん(76)は「なぜ、『普通の被害者』がこの時期に提訴したのか」と問いかけ、追悼碑も記念館もつくらず、犠牲者氏名を記録していない政府を批判。「真実を後世に伝えるため余命いくばくもない私たちだが、心一つにして事実を法廷で明らかにしていきたい」と語りました。


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