2007年3月10日(土)「しんぶん赤旗」

活動の前進を飛躍に変え選挙勝利に実らせよう

日本共産党が全国都道府県委員長会議

志位委員長が報告


 日本共産党は九日、党本部で全国都道府県委員長会議を開きました。年頭の第三回中央委員会総会からいっせい地方選前半戦投票日一カ月前の八日までに選挙勝利に必要な「二つの課題」をやり切ろうと奮闘してきた到達点に立ち、全党の取り組みをいっそう強め、選挙勝利への決意を固め合うために開いたものです。志位和夫委員長が(1)三中総決定にもとづく活動の到達点について(2)政党状況の特徴と日本共産党の役割について(3)必ず勝利をかちとるために残る一カ月何が必要か(4)東京都知事選挙について―の四つの柱で報告し、討論で十九人が発言しました。


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(写真)党本部でひらかれた、全国都道府県委員長会議=9日

 志位委員長は、活動の到達点について、全党の奮闘で「支部が主役」の選挙戦が前進を始め、中間選挙でも二月は立候補者全員の当選を勝ち取るなど前進の流れがつくられ、党員拡大でも読者拡大でも後退から連続前進に転じたと報告しました。

 こうした積極的な変化をつくってきた何よりの力は三中総決定だと強調し、取り組みを通じて選挙勝利に向けた真剣な政治的構えと臨戦態勢をつくる土台が築かれたことは「最大の成果だ」として「このことに確信を持って本番のたたかいに臨みたい」と力を込めました。

 同時に「到達点と目標との距離は大きいものがあることをリアルに直視することが大切です」と指摘し、現在の活動を抜本的に引き上げることを訴えました。

 政党状況の特徴では、三中総の解明が的確だったことはその後の情勢の進展でも明らかだとして、安倍自公政権の問題と民主党の動向に言及。今年に入ってからの民主党が自民党との「対決」を演出していることについて「自民党と悪政を競い合ってきたこれまでの自らへの反省もなければ是正もない。それでは『対決』は選挙目当てのポーズにすぎず、この党の国民への無責任と不誠実、政党としての道義が厳しく問われている」と批判しました。

 一方で「たしかな野党」としての日本共産党はどの分野でも重要な役割を発揮していると語りました。

 その上で、いっせい地方選前半戦の投票日まで残る一カ月、必ず勝利を勝ち取るために必要なこととして(1)選挙勝利をめざす宣伝・組織活動を「全国は一つ」の見地で全有権者を対象にした活動に発展させる(2)文字通りの全支部、全党員の参加する選挙戦としてたたかう(3)必ず獲得すべき選挙区で議席を獲得するために必要な手だてをとりきる(4)これらのすべてをやりぬくために機関の指導体制を強化しながら選挙戦をたたかう―の四点を提起しました。

 最後に「いま党は元気で明るく展望をもって前進しつつあります。前進から飛躍へと活動の水準を抜本的に引き上げて、党大会後のすべての努力を、目前に迫った選挙勝利に必ず実らせようではありませんか」と訴えました。

 志位氏は閉会あいさつで、客観的にも主体的にも、残る一カ月やるべきことをやり切れば勝利をつかむ条件が存在することを指摘し、選挙勝利に向けいっそうの奮闘を呼びかけました。

 会議は志位氏の報告と閉会あいさつを拍手で確認しました。


改憲手続き法案強行許さない

国民的運動呼びかけ

 志位委員長は、政党状況の特徴にふれたなかで、「安倍内閣が、内閣の延命のために、政治局面のタカ派的打開、反動的打開をはかる動きを強めていることに、きびしい警戒を払う必要がある」として、憲法問題と歴史問題について解明し、日本共産党の立場を明らかにしました。

 安倍晋三首相の号令のもと、与党は五月三日の憲法記念日までに改憲手続き法案の成立をめざし、月内にも衆院通過を狙うなど、重大な局面にあります。志位氏は、法案は改憲と地続き・一体であり、内容的にも改憲をしやすくする不公正・非民主的な仕組みが数多く盛り込まれていると指摘。「憲法改悪反対のたたかいをさらに発展させることと一体に、改憲手続き法案の強行を許さない国民的運動を急速に広げることを心から呼びかけたい」と訴えました。

「従軍慰安婦」問題

首相は歴史歪める言動やめよ

 志位委員長は「従軍慰安婦」問題をめぐり、旧日本軍の関与を認めて謝罪した河野洋平官房長官談話(一九九三年)を見直す逆流が生まれている重大性に言及しました。安倍首相自身が「強制性を裏付ける証拠はなかった」などとのべたことに、国内外から批判が広がっています。

 志位氏は、「従軍慰安婦」問題とは、日本が植民地化、軍事占領した地域から多数の女性を動員し、日本軍が設置した「慰安所」に閉じ込め、性行為を強要した問題だと指摘。「この非人間的な所業の全体が、大掛かりな国家と軍による強制なしに不可能なことは明らかであり、それを裏付ける無数の証拠も存在する」とのべました。

 その上で、安倍首相が自ら継承すると言明した「河野談話」を事実上否定する発言をしていることにたいし、「発言を撤回し、歴史の事実を歪(ゆが)める言動をただちにやめることを強く求める」と強調しました。


都知事選をたたかう基本的立場について

都道府県委員長会議 報告で志位委員長

 日本共産党の志位和夫委員長は、九日の党全国都道府県委員長会議での報告で、東京都知事選をたたかう党としての基本的立場についてのべました。

 第一は、石原都知事への批判を、それを支えてきた自民、公明、民主、生活者ネットなど「オール与党」への批判と一体におこなうことです。

 志位氏は、「オール与党」について、石原都知事の福祉切り捨て、巨大開発推進、憲法と民主主義否定、都政私物化という暴政の「共同責任」を負っていると指摘。選挙直前になって石原都政批判を強める民主党について、「そのことへの反省ぬきに、選挙目当てに『野党ポーズ』をとることは、都民を欺く行為だ」と批判しました。

 第二は、石原都政の罪悪のなかでも最大のものは、福祉切り捨て、巨大開発推進という「逆立ち」都政をおしすすめたことにあり、これを大本から変える立場、政策、資格をもつのは、政党では日本共産党だけであり、候補者では無党派の人々と日本共産党が共同で推薦している吉田万三氏しかないということを堂々と訴えてたたかいぬくことです。

 志位氏は、都知事選に出馬表明した浅野史郎前宮城県知事について、知事時代の「実績」にも言及しました。冷酷な福祉切り捨てと大型開発優先の「逆立ち」県政を、自民、民主、公明、社民の「オール与党」に支えられておこなったという点で、「石原知事とまったく同じ流れのなかにいる人物だ」と具体例で比較しながら批判。浅野氏が、石原都政を大本から変える立場をもちえず、「逆立ち」政治を推進した知事という基本点では「よりまし」ともいえないとして、吉田氏の勝利のために全国からの支援を訴えました。


全国都道府県委員長会議への報告の骨子

一、三中総決定にもとづく活動の到達点について

 (1)三中総が提起した二つの課題の到達点

 (2)選挙勝利にむけた臨戦態勢の土台が築かれた――積極的な変化を全党の確信に

 (3)到達点をリアルに直視し、すべての活動で飛躍をつくろう

二、政党状況の特徴と、日本共産党の役割について

 (1)安倍・自公政権――矛盾と行き詰まりのもとで、反動的打開の動き

 貧困対策の貧困と、最低限の政治モラルの欠如

 改憲手続き法案の強行を許さない国民的運動をよびかける

 「従軍慰安婦」問題――歴史をゆがめる言動をただちにやめよ

 (2)民主党――国民への無責任と不誠実な態度がきびしく問われている

 「格差是正」をいうなら過去の行動をどう説明するのか

 地方政治――「オール与党」の一員が「野党ポーズ」をとるひきょうな姿勢

 (3)「いまこそ必要 たしかな野党」――日本共産党の役割をおおいに訴えよう

 間違った政治に反対する――「貧困と格差」「政治とカネ」「憲法と平和」

 国民の要求実現に奮闘する――労働のルールを守るたたかいでも現実政治を動かす

 野党外交を発展させる――日本共産党の歴史と綱領は世界のどこでも通じる

三、必ず勝利をかちとるために、残る1カ月、何が必要か

 (1)宣伝・組織活動を、全有権者を対象にした活動に発展させる

 無党派層の急増――「政治を変えたい」という思いにこたえた働きかけを

 大量宣伝――日本共産党の元気いっぱいの姿を広く有権者にしめそう

 対話・支持拡大――大飛躍をかちとるために試されずみの手だてを

 党勢拡大――宣伝・対話と一体に目標に正面から挑み、上げ潮のなかで選挙を

 支部演説会――すべての支部で開催し、さらに二度、三度とひらこう

 (2)全支部、全党員の参加する選挙戦としてたたかう

 最大のカギは三中総決定の全支部、全党員への徹底

 職場支部と労働者党員が選挙勝利のけん引車として奮闘を

 分野別後援会の活動をさらに発展させよう

 すべての支部が選挙本番にふさわしい臨戦態勢の確立を

 (3)議席を獲得するために必要な手だてをとりきる

 情勢判断と必要な手だてを――都道府県委員会とその長の責任で

 立ち遅れは絶対になりゆきまかせにせず、打開の手だてをただちにとる

 (4)機関の指導体制を強化しながら選挙戦をたたかう

四、東京都知事選挙について

党大会後の1年2カ月の努力のすべてを選挙勝利に実らせよう


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