2007年2月28日(水)「しんぶん赤旗」

「君が代」伴奏拒否

音楽教諭の上告棄却

最高裁 差し戻し少数意見も


 東京都日野市立の小学校の入学式で「君が代」の伴奏を拒否して戒告処分を受けた音楽教諭(53)が、都教育委員会を相手に処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(那須弘平裁判長)は二十七日、伴奏を命じた校長の職務命令は思想・良心の自由を保障した憲法一九条に違反しないとの判断を示し、原告の上告を棄却しました。五人の裁判官のうち藤田宙靖裁判官はこれに反対し、処分の適法性について改めて検討するべきで、高裁に差し戻す必要があるとの少数意見を示しました。

 「日の丸・君が代」をめぐる教職員への処分にかんする最高裁判決は初めて。都立学校教職員が「君が代」の起立・斉唱の義務はないとして訴えた「予防訴訟」では、昨年九月に東京地裁が都教委の強制は憲法・教育基本法に反するとの判決を出しています。

 四人の裁判官の多数意見は、伴奏命令について「特定の思想を持つことを強制したり、禁止したりするものではない」とし、原告の思想・良心の自由を侵すものではないと判断。地方公務員である原告は職務命令に従わなければならない立場にあるとしました。

 一方、藤田裁判官は「ピアノ伴奏をすることは自らの信条に照らし原告にとって極めて苦痛なこと」であり、「職務命令と思想・良心の自由との関係についてはさらに慎重な検討が加えられるべきだ」と指摘。「教育公務員は職務の公共性から思想・良心の自由の制限を受ける」とした一審と二審の判決は、人権制約の理由となった「公共の利益」の内容について十分議論されたとはいえず、差し戻す必要があるとのべました。

 同訴訟は一九九九年の入学式で校長からの伴奏命令を拒否した原告が、都教委から処分を受けたことに対して起こしたもの。一審の東京地裁は二〇〇三年十二月、二審の東京高裁は二〇〇四年七月、いずれも原告の主張を退けました。


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