2007年2月28日(水)「しんぶん赤旗」

けいざい?

なぜ貧困がふえるの?

雇用と税制に問題


  てぇへんだ、てぇへんだ。

 ご隠居 どうしたい。

  おいらは貧困なのかい。

 ご隠居 いきなり、どうした。

  いやな、いま貧困と格差の広がりが問題になっているだろ。おいらは、貧乏人なのか、金持ちなのか。

 ご隠居 まあ、金持ちではないだろうな。ひとつの目安は貧困ラインだ。

  なんだ、その貧困ラインというのは。

 ご隠居 一日の生活費が一ドル以下とか二ドル以下とか国際機関によっても違う。一日百二十円とか二百四十円という暮らしだな。

  おいらがコンビニで買うおにぎりはたしか一個百三十円だったな。

貧困率が増加

 ご隠居 経済協力開発機構(OECD)というところでは、こうだ。各国の貧困世帯のラインを、全世帯の年収の中央値の半分以下の収入しかない世帯としている。

  中央値というのはなんだ。

 ご隠居 年収順に並べて九十九人いたら、真ん中の五十番目だ。百人なら五十番目と五十一番目の平均値になる。

  その半分以下か。で、いくらなんだ。

 ご隠居 日本では夫婦子ども一人世帯で年収約三百五万円だ。

  電卓かしてくんねぇ。えーっと、月平均二十五万円ちょっとか。ボーナスが年三カ月分あったとしたら、月収は二十万円程度か。おいらの場合は…。

 ご隠居 まあ、熊さんがどうかは聞かないことにして、とにかく日本の貧困率、つまり貧困ライン以下の人たちの割合が増えている。

  たしか、五位だとか二位だとか。

 ご隠居 さっきのOECDによると、全人口でみた場合、日本は五位だ。生産年齢人口といって十八歳から六十四歳までの人口でみると、日本はアメリカに次いで二位だ。

  なんでだ。

 ご隠居 OECDの分析がなかなか興味深い。日本政府は、なにかというと高齢化のせいにするが、それだけじゃない。

  もったいぶらずに、ずばっといっとくれ。

非正規の増大

 ご隠居 非正規労働者の拡大という「労働市場の二極化」がひとつの原因だという。

  「二極化」ってぇいうと、正社員が減って、パート・アルバイトや派遣・請負が増えてるからだということか。

 ご隠居 非正規が増えるということは、収入の低い人が増えるということだからな。もうひとつは、所得が低い層の税負担が重く、社会保障給付の水準が低いことをあげている。

  そいつぁ、実感がある。昨年の六月も住民税がはねあがって、大騒ぎだった。所得の低い者、弱い者にこそ、手をさしのべるってぇのが政治の役目だろ。まるで逆じゃねえか。こんな政治にだれがした。

 ご隠居 そこだ。

  どこだ。

 ご隠居 非正規の労働者が増えたのは、労働者派遣法など労働法制の緩和だ。たとえば、労働者派遣を原則自由化した改悪(一九九九年)に「大量の低賃金、無権利の派遣労働者をつくりだす」と反対したのは日本共産党だけだった。

  賛成した政党は、少しは反省してほしいものだ。

 ご隠居 いまになって「(労働の規制緩和が)格差の拡大を招いたことは認める」と与党議員もいう。「非正規の著しい増加の主因は、度重なる派遣法制の変更にある」と民主党の政調会長は認めている。

  庶民には増税、大企業には減税というやり方も改めてもらいてぇものだ。

 ご隠居 大もうけしている大企業や大資産家に、それ相応の負担をしてもらい、所得の少ない人に回す。それが、政治の役割。ところが、税と社会保障が、かえって貧困と格差を広げる要因になっているとしたら、本末転倒だ。

グラフ

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