2007年2月27日(火)「しんぶん赤旗」

最低賃金 時給1000円で

生産2兆6千億円増

低所得者の消費、中小企業潤す


 最低賃金を千円に引き上げると二兆六千四百億円の波及効果が生まれ、日本経済に健全な発展をもたらす―労働運動総合研究所(代表理事・牧野富夫日本大学教授)は二十六日、最低賃金引き上げによる日本経済への波及効果について試算結果を発表しました。牧野代表理事と木地孝之研究員が都内で記者会見しました。


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(写真)最低賃金引き上げの経済波及効果について会見する(左から)牧野、木地の両氏=26日、都内

労働総研試算

 最低賃金は全国平均六百七十三円。貧困と格差をなくすため抜本的引き上げが焦点になっていますが、安倍内閣は「企業の負担増になる」として背を向けています。

 牧野氏は「最賃アップは労働条件を向上させるとともに、消費購買力を高めて経済に健全な発展をもたらす」とのべ、国民的大義を持っていると強調しました。

 「時給千円」は、生計費の最低水準ラインの年収二百万円に相当する時間給。全労連と連合が今春闘で要求しています。

 試算は、厚労省の二〇〇六年賃金構造基本調査などをもとに計算。時給千円になれば、パート(一日六時間、月二十日勤務)の77・9%(三百七十四万人)が月額二・五万円、一般労働者(一日八時間、月二十二日勤務)の13・6%(三百九万人)が二・九万円、それぞれ賃金が増加します。

 賃金総額は年間二兆一千八百五十六億円増加。このうち一兆三千二百三十億円が消費支出に回り、これが各産業に波及して、国内生産額を二兆六千四百二十五億円拡大します。賃金上昇による消費需要の二倍の波及効果を及ぼします。

 賃金構造調査では零細企業は除外されており、実際の波及効果はさらに増えるとみられます。

 生産波及効果は、高所得者より低所得者の賃金を引き上げたほうが一・六四倍の効果があります。収入増を消費に回す傾向が低所得者のほうが強いためです。低所得者の賃金増は中小・零細企業が多い食料、繊維、自動車などの分野で消費増が予想され、中小企業を潤すことも分かりました。

 牧野氏らは会見で「最賃引き上げで中小企業のコスト増を心配する声があるが、その成果を受け取るのは主に中小企業だ。取引単価の引き上げとともに最低賃金の引き上げをおこなうことが経済の健全な発展に寄与する」とのべました。

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