2007年2月26日(月)「しんぶん赤旗」
列島だより
お母さんの反応が違う
こども署名 いいね
中卒まで医療費無料、少人数学級、保育料軽減…
子育て真っ最中の父母の願いは、安心して子を産み育てられる社会です。その願いを実現するため各地で医療費の無料制度拡充などを求める「こども署名」がひろがっています。愛知県と石川県の取り組みを紹介します。
「ひと言」欄に悩みや願い
愛知
日本共産党愛知県委員会が各地でとりくんでいる「こども署名」は、国と自治体に▽仕事と家庭生活とが両立できるルールを▽中学校卒業までの医療費を無料に▽保育園を増やし、高い保育料値下げして▽国の責任で教育の条件整備―を求めています。
子どもの医療費無料を、県は四歳未満にしています。そのため多くの自治体が就学前までにしています。
署名欄のついた返信はがき付きミニリーフ「HIROKO倶楽部」(十四万枚作成)への返信や、名古屋市議団の市政アンケートに子育て世代からの切実な声が寄せられています。
用紙が次々返信
「働けば働くほど税金をとられてくやしい。子ども三人かかえてギリギリの生活でやりきれない」「小さい子がいるため働けず、保育園に応募しているがなかなか入ることができない」「名古屋市は他の自治体に比べて乳幼児医療の助成の期間が短い! せめて小学生の間はあってほしい」…。
県委員会では、このような切実な願いと八田ひろ子参院愛知選挙区候補のコメントを掲載した署名用紙付き「愛知民報」号外を三十万枚作成。のぼり、横断幕、ポスターなどを掲げて、党支部が街頭、子育て世代の多い団地やマンションへの宣伝・対話の取り組みをすすめています。
林のぶとし前県議の議席回復をめざす名古屋市緑区では、署名用紙に返信用封筒をつけて配布しました。次々と返送された署名用紙の裏面の「ひと言」欄には、「離婚したが、子どもをかかえて働き口がなく困っている」「子どもが病気のとき、受け入れてくれる施設などがない」など、悩みや怒りが書き込まれています。
保育園前で訴え
緑区の新婦人内後援会などでの保育園や幼稚園前での宣伝では、「署名にご協力を」と声をかけるとほぼ100%の人がビラを受け取り署名をしています。
春日井市では、柳沢けさみ県議候補が保育園門前で「こども署名」をよびかけると、送迎の親が次々と署名し、「ありがとうございます」「ぜひとも実現を」と対話がはずみます。保育園の園長も「どんどんやってください」と柳沢候補に激励の声をかけました。
県委員会の署名に加え、地域の要求に根ざした独自の取り組みも広がっています。
名古屋市西区の、わしの恵子市議は人口急増地域である山田中学校区の子育て世代を対象に独自の子育てアンケートを作成し返信封筒を付けて全戸配布をしました。「保育料が高くて困る」「中学校がプレハブ校舎、同じ税金を払っているのに納得できない」など、不満や願いがびっしり記入された返信が相次ぎました。アンケートにもとづいて保育園や中学校の増設などを求める、市議会あての請願署名に返信封筒を付けて全戸配布。これまで党と結びつきのなかった人々から返信が寄せられ、知人からも集めて送付してきた人もいます。
蒲郡市の日恵野佳代市議は市あての「こども署名」を作成し、保育園の父母会と懇談をしています。署名集めに協力してくれる人も出ています。日恵野市議は「すべての保育園をまわったことで共産党の声がお父さん、お母さんに届いた感じがする」と話しています。
取り組みに参加した人たちは、子育て世代の悩みや、怒りを実感しています。県委員会ではさらに全行政区、自治体で広げることにしています。(日本共産党愛知県委員会女性部・高橋真生子)
推進へ県民集会
石川
石川県では、日本共産党も参加する「新しい県政をつくる県民の会」(県民の会)が三つの県民要求の実現をめざして「こども署名」運動をすすめています。
三つの要求は、(1)子どもの医療費を義務教育終了まで完全無料化する(2)少人数学級・三十人学級を義務教育の全学年で実施する(3)保育料の負担軽減、長子が十八歳未満の第三子の保育料は無料化する―です。
石川県の子どもの医療費助成制度は外来三歳まで、入院就学前まで。千円の自己負担、所得制限、窓口負担(償還払い)があります。
十九市町ある全自治体が県の制度に上乗せして実施しています。そのうち七市町が中学校卒業まで拡充し、所得制限、自己負担なしのところもあります。
日本共産党は議員がいる自治体で、拡充のために奮闘しています。小松市では四月から入・通院とも小学校卒業から中学校卒業までに対象を拡充します。川北町が四月から、十五歳以下の子どもが三人以上いる家庭の第三子の保育料を無料にするのが注目されます。
少人数学級については、石川県では校長の裁量で小学一、二年と中学一年が三十五人学級を実施することができます。
県民の会は昨年十二月、「『子育てするなら石川県』という石川県をつくるために、『こども署名』のご協力を」とアピールを発表。一月二十五日、金沢市で署名推進県民集会を開き、今月十一日には街頭宣伝・署名活動をおこないました。
街頭では、「これは良い署名ですね」と元小学校教員の女性が真っ先に机に向かい署名。子どもを抱っこした若い夫妻も積極的に署名に応じる姿が見られました。
内灘町では、日本共産党の堂下清孝町議(県議選候補)の努力で小学一、二年の三十人以下学級が実施されています。同町では「お金がない」と言いながら、町民一人あたり二万四千円、総事業費六億四千五百万円をかけて「蓮湖渚(はすのうみなぎさ)公園」をつくる「税金の無駄遣い」に反発し、「県下一のマンモス校、内灘中学校の改善が先ではないか」と「こども署名」に応じる町民が増えています。
輪島市や羽咋(はくい)市、野々市町、津幡町などでは、新聞折り込みや、返信用封筒とともに市政アンケートとセットで署名用紙を各戸配布するなどして推進。「休日・夜間の子どもの診察ができるようにしてほしい」(羽咋市)の声が聞かれます。
金沢市のみどり団地地域では、「わかりやすい署名で、訴えやすいし、反応もたいへん良い」と運動がすすんでいます。
県民の会はPTA、保育所、教育、小児科医など関係の各方面に協力の申し入れをしました。
木村吉伸事務局長は「どこでも大変歓迎されています。とくに若いお母さん方の反応がちがう。大きな広がりをつくり、六月までに十万人分の署名を集めたい」と語っています。(石川県・森明雄)