2007年2月25日(日)「しんぶん赤旗」

公明区議の不正政調費

03・04年度分“沈黙”

広報紙発行費 返納の05年と同手法

東京・目黒


 政務調査費の不適切使用で六人全員が辞職した東京都目黒区の公明党議員団。二〇〇五年度の不適切使用分は返納したものの、同じ手法で受け取った〇四、〇三年度分はいまだに、沈黙を決め込んでいます。

 公明党議員団(当時)が事態発覚後の昨年十一月、みずから「間違えて収支報告書に記載」したとして削除し返納したのは、私有車の車検整備費やカーナビ代など、二百二十五項目の約七百七十三万円。〇五年度に同議員団が受け取っていた約千二百二十万円の調査費の63%にのぼります。

別に印刷費計上

 とくに目立つのは「広報紙発行費」。四、七、十月の三回に分け、一議員二十万円ずつ、合計十八回三百六十万円受け取っていましたが、不適切な受給として全額返納しました。議員団は議会事務局に口頭で、編集会議、印刷や配布費用と説明していますが、同「発行費」とは別に、広報紙編集用の会場使用料、印刷代、ポスティング(配布)費用として百十万円余を計上しています。

 「広報紙発行費」を証明する資料として提出していたのは一枚二十万円ずつの「領収証」十八枚だけ。配ったはずの広報紙も添付されていなかったといいます。「領収証」の書式はすべて同じで、発行元(金の受取者)は各議員の名前をつけた「◯◯区議会通信」「▽▽区議会宅急便」などの各発行委員会で、あて先はいずれも公明党目黒区議団。発行委員会なるものの住所も記載されていません。

意味をなさない

 「自分が自分に出したようなもので、領収証の体をなしていない」と言うのは立正大教授で税理士の浦野広明氏。「この領収証はいわば仮払い。印刷費など内訳を明示して精算しなければ意味をなさない。これでは、本当に広報紙を出したのかと疑われても仕方なく、“裏金”づくりの手法にもつながるという疑惑すら招きかねない」と指摘します。

 同議員団は〇四年度と〇三年度にも同じ方法で「広報紙発行費」を六十万円ずつ受け取っていますが、返納したのは、問題が表面化した〇五年度分だけです。

 それも辞任届と同様、「郵便で通知し、振り込まれた」(議会事務局)もので、議会など公的な場所に顔を見せていません。前議員のなかには辞任直後に転居したという例もあり、事実上の“雲隠れ”状態。議員団室の荷物も、今年二月の日曜日に整理に来るまでそのままになっていたといいます。


議会に説明を

 日本共産党区議団の野沢まり子幹事長の話 広報紙の現物を添付すべきといった議論は、議会内でも繰り返しされており、公明党が知らなかったはずはない。過去にもさかのぼって点検し、まず区民と議会への説明責任を果たすべきだ。


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