2007年2月24日(土)「しんぶん赤旗」
税金・年金・介護 負担増で消費減
06年家計調査 高齢者は4万以上赤字
大企業が史上空前の利益を上げています。しかし、低迷する家計には、その恩恵はいっこうに波及してきません。二〇〇六年の家計調査報告からその様子が浮き彫りになります。
〇六年の総世帯の消費支出は一世帯あたり一カ月平均で二十五万八千八十六円。前年比で名目3・2%減、物価変動の影響を除いた実質で3・5%の減少でした。家計調査による消費支出は総世帯のデータが公表された二〇〇〇年以降、〇四年に若干増加しますが、一貫して減少傾向にあります。
〇六年は交通、通信、食料をはじめ十大費目のすべてで前年と比べ、実質減少となりました。
消費支出のなかで、食料費の占める割合(エンゲル係数=%)は、同0・4ポイント増となっています。
〇六年には、所得税・住民税の定率減税が半減され、国民年金保険料や厚生年金保険料が引き上げられました。そのほか、酒税「見直し」による第三のビール増税や、介護保険料が値上げされています。
勤労者世帯の可処分所得は、前年と同水準(実質)でした。これは、収入増の効果が、定率減税縮減などによる負担増によって帳消しにされていることを示しています。
こうした負担増が、家計に重くのしかかり、税や社会保険料などの非消費支出(勤労者世帯)は、月平均約千六百円増(名目2・2%増)と二年ぶりに増加しています。
特に、世帯主が六十歳以上の高齢者無職世帯の場合、物価スライドによる公的年金の給付額が引き下げられたことも影響し、収入から税や社会保険料を除いた可処分所得が同実質2・3%減となりました。
こうした世帯では、食料や被服および履物などの支出が、前年と比べて実質減少しました。費目別構成比では、前年に比べ価格が上昇した光熱・水道、食料などの割合が増加し、その他の消費支出の割合が減少しています。また、総世帯と比べて、保険医療などの割合が高くなっています。
この結果、高齢者無職世帯の家計収支は、平均約四万四千円の赤字となり、貯蓄などを取り崩して家計が賄われていることが分かります。
〇七年は、定率減税が全廃され、昨年に引き続き、国民年金や厚生年金の保険料が引き上げられます。昨年から住民税が課税になった高齢者は、今年も引き続き住民税が増税されます。さらに、これにともなって介護保険料や国民健康保険料も増加します。
〇七年も庶民の家計にとって「景気回復」を実感できない状況が続きます。
可処分所得 給与類や年金収入などの収入から税金、社会保険料などを差し引いたもの。収入が増えると大きくなります。一方、増税や社会保険料引き上げなどの負担増は、可処分所得を小さくする要因になります。
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