2007年2月22日(木)「しんぶん赤旗」

主張

予算組み替え要求

貧困の打開へかじを切れ


 日本共産党が二〇〇七年度の政府予算案に対する組み替え要求を発表しました。

 貧困と格差を打開し、日本経済のゆがみをただす方向に政治を切り替え、くらしを守るために抜本的に予算を組み替える提案です。

二つの根源にメス

 とりわけ、深刻化している貧困問題の打開を目指す、次の五項目の緊急要求は重要です。

 (1)定率減税の廃止をやめ、高齢者の増税に伴う雪だるま式の負担増を中止する(2)貧困ラインを下回る最低賃金の抜本引き上げ、非正規雇用の均等待遇(3)生活保護の母子加算の廃止をやめ老齢加算を復活させる。児童扶養手当の削減を中止する(4)生活が困難な人からの国民健康保険証の取り上げ中止と減免制度の拡充(5)障害者自立支援法の応益負担の撤回

 大企業が空前の利益を上げ続ける一方で貧困がまん延する異常事態が広がっています。その原因は、正社員から非正規雇用への置き換えを大規模にすすめた財界・大企業の雇用破壊と、これを後押しした政府・与党の「規制緩和」「構造改革」です。それに加えて、「子どものいる世帯」では給付より負担の方が重くなるなど、貧困の拡大を抑えるべき税制・社会保障が逆に貧困を悪化させてきたことです。

 働くルールの破壊と逆立ちした税財政という二つの大問題を解決しない限り、貧困を打開する道は開けません。日本共産党の緊急重点要求の五項目は、二つの根源に正面からメスを入れ、貧困の拡大から貧困の打開へと経済政策を転換させるために必要な最低限の提案です。

 安倍内閣は、大企業や大資産家に手厚く減税しながら、他方で定率減税廃止に続いて参院選後には消費税増税を検討するなど、庶民増税の路線をすすめています。過労死促進・残業代ゼロ制度のホワイトカラー・エグゼンプションの導入にも執念を燃やしています。二つの根源をいっそうひどくして、貧困に拍車をかけるやり方です。

 経済財政諮問会議の「成長力底上げ戦略」は、「『結果平等』を目指すような格差是正策とは異な(る)」と明記しています。いま貧困に苦しむ多数の国民への直接支援を徹底して回避し、反対に「福祉から雇用へ」「就労による自立」の名目で必要な給付の削減を促進する内容です。

 例えば「底上げ戦略」の「参考資料」は、母子家庭の「自立支援」とは「児童扶養手当中心の支援」から「就業・自立に向けた総合的な支援」への転換だと明記しています。

 日本の母子家庭の母親は85%が就労し先進国のなかで突出して働いています。それにもかかわらず六割近くが貧困ライン以下の収入に苦しめられているのが実態です。しかも、厚労省の「母子家庭白書」によると、母子家庭の一人当たり収入は〇二年の九十四万円から〇四年の八十六・八万円まで年々減っています。

 児童扶養手当は母子家庭の「命綱」です。「自立支援」は、この「命綱」を〇八年度から大幅に減らす計画の最大の口実になっています。

再チャレンジと底上げ

 安倍首相は「『再チャレンジ』はセーフティーネットではない」と何度も強調しています。「再チャレンジ」も「底上げ戦略」も、セーフティーネットではないどころか、セーフティーネットを破壊するテコにほかなりません。

 予算案の抜本的組み替えで、貧困を拡大する政治から貧困の打開へとかじを切るよう求めます。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp