2007年2月20日(火)「しんぶん赤旗」
列車テロ 66人死亡
鉄道相 「印パの不安定化狙う」
インド北部
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【ニューデリー=豊田栄光】インド北部ハリヤナ州パニパット付近で十八日深夜(日本時間十九日未明)、ニューデリーからパキスタンの都市ラホールへ向かって走行中の列車の客車二両で爆弾テロが起き、乗員、乗客を合わせて少なくとも六十六人が死亡しました。列車はインドとパキスタン両国を直接結び、「友好急行」と呼ばれています。印パの和平プロセス妨害を狙った犯行とみられ、印パ両国は事件を強く非難しています。
死亡者の大半はパキスタン人。地元テレビによると、負傷者は数十人にのぼります。車両からは起爆装置が付いたスーツケース二個が発見されました。
二十日にはパキスタンのカスリ外相が訪印、二十一日には印パ外相会談が予定されています。昨年七月、約二百人が死亡したインド・ムンバイの列車同時爆破テロで停滞していた和平プロセスが回復に向かっている中で、再び大規模なテロが起こりました。
「友好急行」は第三次印パ戦争後の一九七六年に運行を再開。両国関係の不安定さを反映し、運行停止と再開を繰り返し、最近では二〇〇四年に運行が再開されていました。
インドのプラサド鉄道相は事件を「ムンバイのようなテロ行為」と糾弾し、「(テロの)目的は明らかだ。インドとパキスタンの和平を不安定化させることだ」と非難。警察当局もテロ事件として捜査する方針です。
パキスタンのカスリ外相は十九日、「インド政府が厳正に捜査し、犯人を処罰するよう求める」と語りました。
両国は、カシミール地方の領有権をめぐり三度戦争をしましたが、現在は領土問題に加え経済、文化交流などを含めた包括和平協議を推進しています。
二十一日の印パ外相会談では、偶発的な核兵器使用の危険性を減らすための協定に調印する予定です。両国間の包括的和平協議も三月に正式に再開する見通しです。