2007年2月18日(日)「しんぶん赤旗」

自主的経済政策進める

アルゼンチン大統領

WTO・世銀に反論


 【メキシコ市=松島良尚】アルゼンチンのキルチネル大統領は十四日、同国の経済モデルや貧困問題に関する世界貿易機関(WTO)や世界銀行の見解に反論し、市場原理万能の立場ではなく、自主的な経済政策を維持、発展させていく姿勢を改めて示しました。

 WTOは十二日、アルゼンチン経済に関する報告書で、経済の過熱とインフレに対する懸念を表明。農産物輸出税や一部品目の価格協定など「異端的な経済政策がもたらしているゆがみ」の是正を求めました。また、十三日にアルゼンチンを訪問した世界銀行のコックス中南米担当副総裁は「貧困率は三割台で、中所得水準の国としてはきわめて高い」と指摘しました。

 キルチネル大統領は、WTOの経済政策転換要求に「悲劇をもたらしたかつてのモデルに戻らない」と反論。また世銀の指摘に、「アルゼンチンがまだ貧しいとしたら、世界銀行などの政策に原因がある」と述べました。

 アルゼンチンは世銀や国際通貨基金(IMF)などの国際金融機関が押しつけた民営化や規制緩和など新自由主義経済政策を全面的に実践、二〇〇一年末に経済・金融破たんに陥りました。

 〇三年五月に発足したキルチネル政権は公共事業や雇用を重視し、対外債務の再編や海外からの資金流入の規制、公的サービス部門の再国営化などを実施しました。この結果、経済成長率は昨年まで毎年8―9%を維持し、失業、貧困問題も大きく改善しています。


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