2007年2月17日(土)「しんぶん赤旗」

全国学力テスト

“個人情報保護されず”

文科省に 全教が中止求める


 全教(全日本教職員組合)は十六日、文部科学省が四月二十四日に実施する全国一斉学力テストについて、「学校や子どもどうしを競争させ、序列化するという問題点とともに、個人情報保護の点でも大きな問題が浮かび上がっている」としてテストを中止し、実施方法を抜本的に見直すよう同省に申し入れました。


写真

(写真)個人名などを記入し、民間企業に送付するよう指示する文科省のマニュアル

 申し入れたのは、山口隆副委員長ら。

 新たな問題として浮かび上がっているのは、文科省と委託を受けた民間企業の「ベネッセコーポレーション」「NTTデータ」に全国の小学校六年生、中学校三年生、二百万人以上の家庭状況も含めた個人情報が集まることです。個人情報保護法に抵触する恐れもでています。

 全教によると、文科省が教育委員会や学校に送った実施マニュアル(一月十九日付)では、小学校にはベネッセ、中学校にはNTTデータから問題と解答・回答用紙を送付。「学校名、男女、組、出席番号、名前(漢字とフリガナ)」を記入させます。解答・回答用紙は、そのままこん包して両企業に送り返すよう指示しています。

 全教は、この間実施された予備調査などからみて、回答用紙に「塾に行っているか」など家庭状況まで記入させる恐れがあると推測しています。

 この日の申し入れで全教の代表は、子どもに固有名詞を書かせることについて、事前に子ども、父母・保護者に知らせ、了解をとるという手続きもおこなっておらず、重大な人権侵害になると指摘。実施方法の慎重な検討をおこなったのかどうかを社会的に明らかにすべきだと求めました。

 申し入れ後、記者会見した山口副委員長は、文科省が全国一斉学力テストについて「全国的な義務教育の機会均等と水準向上のため」に児童・生徒の学力・学習状況を調査するものと説明してきたことを指摘。「こうした目的のためなら、テストは無記名でもすむはずだ。記名させることは、児童・生徒を点数で序列化することをねらっているからだ」と語りました。

 すでにこうした実施方法には懸念の声が広がっていることをあげて、父母・保護者らが無記名を希望した場合は尊重すべきだと強調しました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp