2007年2月15日(木)「しんぶん赤旗」

消えた「格差」「ワーキングプア」

混迷の内閣府「戦略チーム」


 内閣府に設置された「成長力底上げ戦略構想チーム」(主査・塩崎恭久官房長官)の議論が混迷状態です。

 このチームは、「成長戦略」ばかりが目立つ安倍政権が、「格差問題」などに取り組む姿勢をアピールするために急きょ設置されたものです。

 一日と八日に会合を開きましたが、(1)フリーター、母子家庭などの「職業能力形成」をどうするか(2)生活保護世帯などの「就労支援」をどうするか―などの課題を列挙した論点整理の文書をまとめただけ。十六日の経済財政諮問会議に報告を出す予定ですが、早くも「付け焼き刃」との声も上がっています。

 チーム発足にあたって塩崎長官は「働く人全体の所得や生活水準を引き上げつつ、格差の固定化を防ぐものだ」(一月三十一日の記者会見)などと意気込みを表明しました。第一回会合には、大田弘子経済財政担当相から「成長力底上げ戦略の基本姿勢」のトップ項目に「いわゆる『格差問題』や『ワーキングプア(働く貧困層)』の問題に正面から取り組む」と明記したペーパーも出されました。

 ところが、第二回会合の議論では、ワーキングプアについては「時間もなかったので、とくに話題になっていない」(内閣府)状態です。論点整理の文書からは「格差」も「ワーキングプア」の文字もすっぽり消えました。

 当初は、チームとして、ワーキングプアの実態調査をおこなう案も浮上していましたが、結局見送り。塩崎長官も八日になって、「(ワーキングプアの)定義にエネルギーを費やす暇があったら、政策の中身をやろう」とトーンダウンしました。

 もともと、政府の発想は「経済成長戦略なき結果平等をめざすような格差是正策は、経済の活力を損なう」(塩崎長官)という立場です。与党の参院幹部からは「『新貧困層』という『底の人たち』はいるが、その人たちに『底』と面と向かっていうことになる。『産む機械』に似たセンス」(二日、神奈川新聞)という声も上がっています。(宮)


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