2007年2月11日(日)「しんぶん赤旗」
イラクとアルカイダ関連づけ
「不適切な情報活動」
米国防総省が報告書
【ワシントン=山崎伸治】二〇〇三年三月のイラク開戦前、ファイス米国防次官(当時)の事務室が「不適切な情報活動」を行っていたとする国防総省の機密報告書が作られ、九日、その要旨部分(二ページ)が解禁されました。作成した同省のギンブル監査総監代理は同日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、この活動はラムズフェルド国防長官とウルフォウィッツ副長官(いずれも当時)に許可されたものだったと述べました。
報告書は、ファイス氏の事務室が「イラクとアルカイダとの関係について、諜報(ちょうほう)機関の統一見解とは相いれない結論も盛り込んだ、別の諜報評価を作り上げ、主要な決定権者に示し、広めた」と結論付け、「こうした活動は違法でも、無許可でもなかったが、不適切だった」としています。
こうしたことが起きたのは、同事務室の職務が「政策立案から諜報分析と普及」に拡大されたからだと指摘。同事務室は「最も正確な情報の分析」を決定権者に提供しなかったとしています。
これは〇二年九月、中央情報局(CIA)など米諜報機関が否定していたにもかかわらず、イラクのフセイン政権が国際テロ組織アルカイダを支援していたという情報をブッシュ政権に提出したことを指しています。この情報はその後、イラクの大量破壊兵器保有とともに、イラク開戦の口実の一つに繰り返し、利用されました。
ファイス氏は九日、CNNテレビのインタビューに対し、「監査総監が批判しているのは、ペンタゴンの人間がCIAの情報の質を批判したという事実だ」と述べ、フセイン政権とアルカイダとの関係があったという自分たちの情報は間違っていなかったと強弁しました。
ファイス氏はイラク戦争を推進した「新保守主義」(ネオコン)グループの一員で、二〇〇五年に国防次官を辞任しました。