2007年2月11日(日)「しんぶん赤旗」
主張
政党助成金
堕落と腐敗の温床を断て
開会中の国会の大きな焦点の一つが「政治とカネ」の問題です。
とりわけ「事務所費」問題は、政治家が庶民には想像もつかない巨額な資金を不明朗に扱っている実態の一端を示しました。
政治の腐敗と堕落の温床になっているのは、野放図に増え続ける企業団体献金とともに、自民、民主、公明、社民など各党が年間三百十九億円もの巨額の税金を分け取りしている政党助成金制度です。
民主主義こわす制度
「日本国民は一人年間百二十五円を自民党に寄付しなければならない」という法律を国会が決めたらどうなるでしょうか。間違いなく怒りの世論が沸騰するでしょう。しかし、いま日本では、結果的にそれと同じことが現実におこなわれています。
いまから十二年前に導入された政党助成法は、国民一人当たり二百五十円、総人口をこれにかけた金額を政党交付金として、選挙での得票率と議席率に応じて政党に分配する仕組みです。
たとえば自民党が昨年受けた政党助成金は百七十一億円で、二百五十円で割ると国民六千八百四十万人分。自民党が直近の総選挙で得たのは二千六百万票弱ですから、子どもや投票しなかった人を計算にいれても、同党が得た金は圧倒的に自民党を支持しない人たちの負担です。
政党助成金は憲法第一九条が保障する国民の「思想及び良心の自由」を侵す違憲の制度です。これを受け取るのは、国家から独立した自主的組織としての政党にとって自殺行為に等しいことです。日本共産党は導入以来一貫してその受け取りを拒否し、制度の廃止を要求しています。
しかも、なんの苦労もなしに巨額の資金が流れ込む仕組みができたことで、政党が国民と向き合い、国民の声を政治に反映する機能が弱まりました。政党本部の収入に占める助成金の割合は自民60%、民主84%、社民50%です。一方、個人献金が収入に占める割合は自民1%、民主は0%です。根無し草のような「官営政党」が国民そっちのけの悪政を競い合う財政的な根拠がこれです。
「悪銭身につかず」というように腐敗にも直結します。九八年には助成金をマンションの維持費や選挙買収資金に流用した自民党衆院議員の事件、〇三年には助成金を原資に買収をした自民党衆院議員の選挙違反事件が摘発されました。使途の報告を求めてはいるものの、五万円以下の支出は記帳も必要なし、「人件費」などは領収書も不要という大ざっぱさです。政党本部から支部、政治家の後援会へと金が流れるにしたがい、国民の税金がどう使われたのかまったくわからなくなる仕掛けです。
九五年の導入時には政党助成金の支給は企業団体献金の廃止と引き換えの約束でした。これは完全に空証文にされました。税金も、企業献金もという二重取りで、政治腐敗はただされるどころか続発の一途です。
廃止に踏み出せ
日本共産党の志位委員長は衆院本会議の代表質問で「国民から募金を集める地道な努力を放棄し、巨額の税金に依存してきたことが、『政治とカネ』をめぐる感覚マヒにつながっている」と指摘し、政党助成金制度の撤廃を強く求めました。
安倍首相は、政党助成金は「民主主義のコスト」という手あかにまみれた言い訳で、政党助成金にしがみつく態度をとっています。
政党助成金頼みの政治の堕落を一掃し、清潔でまともな政治を求める声と運動を大きく広げるときです。