2007年2月9日(金)「しんぶん赤旗」

米軍による英兵誤射

映像隠ぺいに批判

英国内 同盟関係問う声も


 【ロンドン=岡崎衆史】イラク戦争開始直後に米軍機が英兵を誤射した際のコックピットを映したビデオが英国で流出し、映像の公開を拒否してきた米軍と英国政府に批判が強まるとともに、蜜月を誇ってきた米英同盟のあり方を疑問視する声も広がっています。

 二〇〇三年三月二十八日、イラク南部のバスラ近郊を走行中の英軍部隊を米軍のA10攻撃機が誤射し、当時二十五歳のマティー・ハル伍長が死亡し、四人が負傷。ビデオは、誤射の際のコックピット画面を映し、パイロットの会話を録音したもので、「刑務所行きだ」など、生々しいやり取りが収録されています。

 現在、英兵の死因を調査する審問が英国で開催中で、これを前に検視官がビデオの提出を求めていました。しかし、ビデオを米軍から非公開を条件に受け取っていた英国防省は、要求を拒否。大衆紙サンが独自にビデオを入手し、六日付で報道したために内容が明らかになりました。

 七日付の英国内メディアは、死因調査のための協力さえ拒否する米軍の姿勢に対し一斉に反発しました。インディペンデント紙社説は、「誠実さ、常識、人間性のテストである。大西洋の両岸の政府は悲しくかつ恥ずべきことに、このテストに落ちた」と指摘。タイムズ紙社説は、「透明性の欠如は、日本や韓国などの同盟国との関係も損なってきた」と述べ、米軍の恒常的な隠ぺい体質を批判。ガーディアン紙は、サイモン・ジェンキンス氏の論評で、「数万人の民間人の殺害は記録もされていない」と述べ、イラクの多数の民間人が同盟軍に対する以上の無配慮で殺害されていることに警鐘を鳴らしました。

 一方、ハーマン憲法問題担当閣外相は六日、「戦争中に悲惨な事故が起こることは理解できても、真実が隠ぺいされることを人々が理解し受け入れることはできない」と述べ、米軍の非協力姿勢を批判。第三党・自由民主党のキャンベル党首は、「米英関係が真に問われている」と述べ、米英両政府に対し、ビデオの審問への提出とともに、誤射した米軍パイロットを審問に出頭させるよう求めました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp