2007年2月8日(木)「しんぶん赤旗」
主張
国会正常化
議会制民主主義の原則貫いて
柳沢伯夫厚生労働相の、女性は「産む機械」という発言をめぐり不正常な状態が続いていた国会は、衆院予算委で補正予算審議の補充的質問を行うことで正常化しました。
発端となった柳沢氏の発言と柳沢氏をかばい続けた安倍首相の責任は今後の審議を通じて追及されるべきものです。国会の正常化は、補正予算案の単独審議・採決という与党の暴走や、柳沢氏がやめないからといって審議を拒否した民主党などの態度が、議会制民主主義の原則に照らして通用しないものだったことを改めて浮き彫りにしました。
審議の中での追及こそ
女性は「産む機械」という柳沢厚労相の暴言は、女性の人格と人権をいちじるしく傷つけ、福祉や労働を担当する厚生労働大臣として、絶対に許されないものです。柳沢氏がやめないなら、罷免する責任が、任命権者の首相にあります。日本共産党の志位和夫委員長や市田忠義書記局長が衆参の代表質問で辞任や罷免を求め、予算審議前に罷免を決断するよう政府に申し入れたのをはじめ、党派を問わず広く辞任を求める声が上がったのは当然です。
共同通信社が三、四の両日実施した世論調査では、58・7%が柳沢氏の辞任を求めました。ところが政府・与党はこうした国民世論を押し切り、柳沢氏の留任を決めるとともに、衆院でも参院でも補正予算案を単独で審議し、単独で採決したのです。補正予算案を与党単独で成立させるのは、一九六六年以来四十年なかったことです。まったく言語道断のきわみであり、混乱の大きな責任が与党にあったことは明白です。
一方、民主・社民・国民新の三党は、柳沢氏の辞任要求を補正予算案審議に絡め、審議拒否の態度をとってきました。日本共産党は、国会はあくまでも審議の場であり、問題があれば審議のなかで明らかにするとの立場を貫きました。「審議拒否がセットになった要求には同意できない」(志位委員長)との態度を明確にするとともに、予算委の理事会、委員会に出席し、与党のルール破りに抗議し退席しました。
国会の不正常な状態が続く中で日本共産党は、与党は暴走をやめ、国会正常化に努力することを訴え、補正予算審議が参院に移った五日朝には予算委の開会前に、自民や公明の国対委員長に国会正常化のための与野党協議の開催を申し入れました。与党の国対委員長も、「応じる用意がある」と答えました。日本共産党の道理ある主張が国民の要求とも重なって事態を動かし、国会正常化の道筋をつけたことは明らかです。
日本共産党はまた、与党単独での補正予算成立という議会史上での汚点は残すべきではないとの立場から、審議再開は補正予算審議の補充的質問という形で行うことを与党に申し入れました。与党はこれにも「傾聴に値する」と答えました。正常化の合意にあたっても、自民党の筆頭副国対委員長は、合意の文言の意味合いは「それ(補充的質問という意味)を含んでいる」と確認しました。日本共産党の提案が道理のあるものだったことはこの点でも明白です。
徹底した予算審議を
国会は予算委での補充的質問に続き、来年度予算案の審議が始まります。予算審議は安倍内閣の政治の中身を全面的に明らかにする絶好の機会です。日本共産党は徹底した審議を通じ、「産む機械」発言での柳沢氏と安倍首相の責任の追及をはじめ、安倍政治に真っ向から立ち向かっていく決意です。