2007年2月4日(日)「しんぶん赤旗」

どうみる異常国会 各党の対応

政府・与党 厚労相かばい暴走

共産党 審議で究明の立場

記者座談会


 通常国会は冒頭から、柳沢伯夫厚生労働相の「女性は産む機械」発言をめぐって異常事態になっています。与党が単独で衆院予算委員会・本会議を開会・審議し、二〇〇六年度補正予算案の採決を強行しました。この事態をどうみるか、日本共産党の対応はどうか。担当記者で話し合いました。

  野党がまったく審議に参加しないまま補正予算案を与党単独で衆院通過させたのは一九六六年以来だ、と国会の事務方がいっていた。

罷免要求を無視

  不正常な事態を招いた根本には柳沢厚労相の問題がある。女性の人間としての人格と尊厳を否定する最悪の発言だ。国民の福祉、健康、労働にかかわる人権を守ることを職責とする厚労相の資格はない。

  国民の圧倒的多数も柳沢氏の辞任を求めている。自民党内からも柳沢氏を罷免すべきだという声があがっていたし、「欧米なら即辞任もの。とんでもない発言だ」と語る自民党議員さえいた。

  予算委員会でまともな議論をしようと思ったら、厚労相の罷免は避けて通れなかったはずだ。

  柳沢氏は、「女性の最も大事な部分を傷つけた」と釈明していたが、記者に「どんな部分か」と問われ、「尊厳だ」と認めた。そうだとするなら自ら辞任すべきだ。

  ところが、安倍首相は「深刻に反省している」「本来は見識の高い人」といってかばいつづけ、国民多数が求める罷免要求をまったく無視して、居直っている。柳沢氏も「首相の厚意にこたえる」と居座っている。

  自民、公明の与党は、柳沢氏を支えるだけでなく、問答無用で補正予算案の審議を与党だけで一方的に強行した。政府・与党は二重の罪を重ねた。

3野党審議拒否

  民主、社民、国民新党の野党三党は一月三十日に開いた党首会談で、柳沢氏の辞任を衆院予算委員会での補正予算案審議入りの条件とすることを確認し、罷免しなければ審議に応じないとして、実際に欠席した。

  マスメディアは「野党審議拒否」と日本共産党も含め一色に描くけれど、どうか。

  日本共産党は自分たちの要求が受け入れられないからといって退席したわけではない。退席したのは、政府が罷免に応じないことによって、国会が不正常な事態に陥ったとき、与党が一方的に審議をすすめ、採決まで強行する、このルール無視の暴走に抗議して退席した。

  実際、予算委員会では佐々木憲昭議員は理事会に出席し、委員会の冒頭でも柳沢氏の罷免を求めるとともに、「一部野党が欠席という不正常な状態で委員会を開くべきではない」と繰り返し抗議してきた。

  日本共産党は、問題点があれば審議を通じて明らかにしていくという立場を一貫してとっている。これは、政党であればどこであれ当然とるべき態度だ。

  日本共産党は柳沢氏の辞任をいち早く求め、衆参の代表質問でも罷免を要求した。しかし、野党三党が党首会談後に、審議拒否とセットで、一緒に罷免を申し入れることを提案してきた際も、志位委員長が、「私たちは、国会のなかで徹底的に問題点を究明するという立場です。ですから、立場が違います」と表明、受け入れられないとして筋を貫いた。

  数の力で横暴を繰り返す与党だが、その与党議員からも「共産党は議会制民主主義の原則は頑として貫いている」という声が聞かれる。

  いま大事なのは、与党がルール破りの暴走をやめることだ。もう一つは、柳沢氏のすみやかな罷免を首相が決断して、国会の正常化を図ることだ。


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