2007年2月4日(日)「しんぶん赤旗」
貧困・多重債務 行政の役割は
大阪で考える集会
職員が連携を
貧困や多重債務に陥った人の生活を守るため、行政に何ができるかを考える集会が三日、大阪市内で開かれました。債務整理や生活保護、公的融資制度などについて市民団体や自治体職員らが取り組みを報告。約三百人が参加し、意見を交わしました。
生活困窮が原因で多重債務者となった人は、債務を整理するだけでは人間らしい生活を取り戻すことはできません。集会はクレジット・サラ金問題に取り組む弁護士や市民団体、公務員らでつくる「行政の多重債務者対策の充実を求める全国会議」の主催。二〇〇三年から全国で開催しています。
路上生活者を支援する「ホームレス総合相談ネットワーク」事務局の湯浅誠氏が基調講演。「貧困は給食費の不払いや多重債務、犯罪などのかたちで問題化する。政府は貧困を問題にしたくないので、『再チャレンジ』など別の概念で考えようとする」と指摘しました。
滋賀県野洲市市民課の生水裕美・消費生活相談員は同市の取り組みを紹介。生活保護申請などの窓口で、相談者の債務がわかると、すぐに弁護士などに連絡をとり、債務整理をしながら生活再建の相談に乗っています。生水氏は「職員の意識と連携で解決につながる。(逆に)いろいろな課が連携しないと難しい」と話しました。
リストラで職を失った大阪市の男性が、自宅所有などを理由に生活保護支給を断られた経験を語りました。
全大阪生活と健康を守る会連合会の大口耕吉郎事務局長は、相談者を生活保護申請させずに帰らせる「水際作戦」が自治体で横行している実態を報告。「その結果、借金を負うケースが多い。制度の理念どおり、誰でも平等に受けられるようにするべきだ」と話しました。