2007年2月1日(木)「しんぶん赤旗」
「君が代」強制・嘱託不採用訴訟
元選考課長らを尋問
東京都教育委員会の強制に従わず卒業式などで「君が代」斉唱時に不起立だったため処分され、定年後の嘱託としての再雇用を拒否された都立高校の教職員十三人が損害賠償を求めている裁判の口頭弁論が三十一日、東京地裁(中西茂裁判長)で開かれ、嘱託の採用選考に携わった都教育庁人事部選考課の元課長らに対する証人尋問がおこなわれました。
元課長は原告らを不採用にしたことについて、「職務命令に従わなかったことは重大で、成績良好という選考要件を欠いていると判断した」とのべました。
これに対し、原告側弁護団は反対尋問で、停職の処分を二度も受けた人が採用されている実例を示し、それより軽い戒告処分の原告らを不採用とした根拠をただしました。また、一度だけ不起立で処分されたものの、その後は命令に従い起立していた人まで不採用になっていることを示し、「不起立なら不採用になるという見せしめではないか」と問いかけました。
元課長は「総合的に判断した」「職務命令に反したことは重大」との証言を繰り返すだけでした。
原告側弁護団は報告集会で「元課長はなんら合理的な理由を説明できなかった。重大な決定にもかかわらず、過去の事例についてもまったく検討せずに、不採用を決めていたことが明らかになった」と指摘しました。