2007年1月31日(水)「しんぶん赤旗」

主張

代表質問

現実認めぬ首相に打開望めぬ


 安倍首相の施政方針演説に対する、衆院での各党の代表質問を聞きました。

 焦点は、貧困と格差、憲法と平和・民主主義、「政治とカネ」の問題です。安倍首相は、貧困と格差の打開や「政治とカネ」の疑惑解明で国民の願いにこたえず、貧困と格差拡大の実態さえ認めようとしない冷たい態度に終始しました。

国民の願いに応えない

 安倍首相は、「貧困」や「格差」ということばさえ使おうとしません。

 国民の間ではまじめに働いても生活保護水準以下の収入しかない「ワーキングプア」の急増が大問題になっています。首相はそのことをどう認識するのか、文字通り、政治を担当する資格にかかわる問題です。

 日本共産党の志位委員長は、働きづめで、わが身を犠牲にしなければ子どもを育てられない母子家庭・一人親家庭の実態や、保険料を払えない人に窓口で医療費の十割負担を求める国民健康保険の「保険証取り上げ」を問題にし、貧困と格差拡大の実態を鋭く告発しました。

 貧困が国民の一部の問題でなく病気や失業、老いなどをきっかけに誰にも起こりうる問題になっていることを指摘して、首相に実態の調査と抜本的な対策を迫った志位委員長の追及は、国民の願いを正面から受け止め、貧困の打開を迫力を持って求めたものです。

 驚いたのは首相の答弁です。首相は国保の保険証取り上げを制度のために「当然」などとしたあげく、「安定した経済成長のなかで、国民各層に成長の成果を行き渡らせる」などというだけで、貧困の実態について調査することさえ拒否しました。

 現実から目を背けたままで、貧困と格差の拡大に効果のある対策が取れないことは明白です。志位委員長は、予算の組み替えや安心して働ける雇用のルールづくりなど貧困と格差打開の具体策を提起しましたが、首相の答弁は予算の問題でも、雇用の問題でも従来の政府の対策を繰り返しただけです。安倍首相に、貧困と格差の打開が期待できないことはいよいよ明らかです。

 各新聞などが行ったどの世論調査でも、国民の関心が高いのは「格差の是正」や「政治とカネ」の問題です。首相の態度は、政治に求める国民の願いにまったく背を向け、国民の暮らしの実態を見ることさえ拒否していることを示すものです。

 「政治とカネ」の問題でも首相の答弁は国民の願いとかけ離れています。志位委員長は、「事務所費」問題について、疑惑をかけられた政治家がまず実態を明らかにし、首相は任命権者として疑惑の解明に当たるよう求めました。ところがこの当然すぎる要求に対しても安倍首相は、政治資金規正法の「改正」に逃げ込む姿勢に終始したのです。無責任のきわみというほかありません。

「対抗軸」示せる党は

 見過ごせないのは、こうした安倍政権に対し、代表質問では与党の自民・公明だけでなく、民主党も「対抗軸」をもたないことを浮き彫りにしたことです。

 民主党の小沢代表は、「日本は世界でもっとも格差のある国になった」と格差問題を取り上げましたが、打開を真剣に目指すには、貧困と格差を広げる規制緩和路線にこれまで賛成してきた民主党の態度の検討が求められます。民主党の質問にその姿勢はありませんでした。

 安倍内閣の暴走を許すわけにはいきません。国会内外で安倍政権を包囲するたたかいが大切です。


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