2007年1月28日(日)「しんぶん赤旗」
メディアも注目
“いまニュースは 「赤旗」中心に…”
「しんぶん赤旗」が注目を集めています。ある月刊誌は、「赤旗」の報道をマスメディアが後追いするケースが目立っているとして、「いまやニュースは『しんぶん赤旗』を中心に回っているといっても過言ではない」(『テーミス』1月号)と書きました。「赤旗」は2月1日に、創刊79周年を迎えます。創刊いらい、国民の立場に立って真実の報道を貫いてきた「赤旗」はいまどんな役割を果たしているのでしょうか。
事務所費問題
新年スクープ 各紙後追い
伊吹文明文部科学相、松岡利勝農水相や中川昭一自民党政調会長、民主党の松本剛明政調会長らの資金管理団体が賃料ゼロの議員会館に「主たる事務所」を置きながら、最高四千万円もの巨額の事務所費を「支出」しているのは不自然―。
「家賃ゼロの衆参議員会館に多額の『事務所費』支出 自民・民主議員ら18人が年1千万円超」という本紙三日付報道は、新聞、週刊誌がいっせいに後追いし、「政治とカネ」をめぐる大問題になっています。
「日経」(十一日付)は、「政権運営の火種に」と題した記事で、事務所費問題について「共産党の機関紙『しんぶん赤旗』が問題提起していた」と報じました。
『週刊朝日』(一月二十六日号)は、「ボロボロ、ヨロヨロ安倍政権」という企画で、本紙三日付紙面を写真で掲出。「『問題なし』で済ますのか? ずさんな政治資金収支報告書」と伊吹、松岡両大臣らの事務所費問題をとりあげました。
『週刊現代』(二月三日号)のリレー連載「新聞の通信簿」は、「政治家の事務所費問題」をとりあげ、「その後の各紙の様々な報道は言ってみれば『赤旗』の後追いに過ぎない」と書きました。
『フォーサイト』(二月号)の「深層レポート 日本の政治」は、「与野党幹部のお屠蘇(とそ)気分を完全に吹き飛ばしたのは、三日の共産党機関紙『しんぶん赤旗』のトップ記事だ」と詳しくその内容を紹介し、民主党の姿勢をも問うことになった記事の衝撃の大きさを浮き彫りにしました。
日本共産党は事実上のわいろである企業・団体献金とも、国民の税金を各党が分け取りしている政党助成金とも無縁です。「政治とカネ」をめぐる問題での「赤旗」の“追及力”の源泉はここにあります。
貧困の実態追う
「私も生きようと思った」
「ホームレス生活の身です。共産党の生活相談事務所を訪ねて見せてもらった『赤旗』(十六日付、一面)にクギづけになりました」(五十四歳の男性)。新しくスタートしたシリーズ「人間らしく たたかい 生きる」にさまざまな声が寄せられています。
第一回は、人々の温かい連携が北九州市に住む女性(58)の命を救った話でした。女性は、タクシーのベテラン運転手。肺がんを患い、長期の入院を経て、退院したものの体調が戻らず、収入の道をたたれ、思い余って生活保護を申請します。区役所からはねつけられ「もう生きていけない」と死を考え、広島県福山市に住む姉に最後の言葉を伝えようと電話すると「ちょっと待ってみんさい」。姉が知人のアドバイスで共産党市議に相談したことをきっかけに党と市民団体のネットワークを生かした援助で生活保護を再申請し適用が決まります。
「こんな温かい人たちがいたのか。涙がとまりませんでした。夜は冷えて寝ていられない。うろうろさまよい夜を明かします。死のうと思ったこともたびたびでした。でも生きていてよかった。私も生きようと思った」。電話してきたホームレスの男性は、こう話しました。
新シリーズは、日本社会に広がる深刻な貧困の実態を告発し、命と暮らしを守る共同したたたかいを多面的に伝えようというものです。
雇用と賃金を破壊する労働法制の緩和によって仕事をかけもちして、やっと命をつなぐ人々、命を奪う高い国保料、都会や農村に一人取り残される高齢者…。「赤旗」はさまざまな問題を引き続き追い続けます。
「病気で電話するのが遅れた」という三十九歳の読者からはこんな電話がありました。「『ホテルマンの死』(〇六年十一月二十七日付)を読んで胸が痛んだ。涙が出た。私も同じ体験をしたことがあり、自分と二重うつしになった。『赤旗』を続けて読みたいと思った」
石原知事疑惑
都議団と連携 タブー破る
石原慎太郎東京都知事が相次ぐ疑惑発覚に苦しんでいます。マスメディアでも批判はタブーだった石原政治に風穴を開けたのが、日本共産党東京都議団と連携した「赤旗」の報道でした。
「昨年末から続いている石原慎太郎都知事への批判が止まない」「発端は、夫人や特別秘書を伴った海外出張が豪華すぎるという『赤旗』の記事だった。この報道以降、堰(せき)を切ったように石原批判が続いている」(『新潮45』二月号)
昨年都議団が告発した総額二億四千万円超の豪華海外出張や、都事業に四男・延啓氏を重用していた都政私物化問題が大きな反響を呼びました。
続いて「赤旗」日曜版(十二月十日号)がスクープしたのが、水谷建設元会長と石原知事、三男の宏高衆院議員の高級料亭での宴席と五百万円のヤミ献金疑惑です。
この報道後、週刊誌が「赤旗・石原戦争」(『週刊新潮』〇六年十二月二十一日号)と銘打って同趣旨の記事を掲載。「石原慎太郎包囲網に出口なし!?」(『ポスト』一月一・五日号)など、週刊誌が軒なみなだれをうつように石原氏の疑惑を報じました。
ある週刊誌記者は「私物化疑惑に加えてヤミ献金疑惑で知事は火ダルマ。今や各メディアが身辺を洗っています。『赤旗』報道が流れを作った」と話します。
編集部にも「市民の代弁者としてがんばって」「共産党の調査能力はすごい。まだまだ序の口、さらに追及を」などの反響が寄せられています。
さらに日曜版(一月二十八日号)では、知事交際費の全容を調査。税金を使い高級料亭などでの飲み食いを繰り返していた実態が明らかになりました。
絶大な権勢を誇り強気一辺倒だった石原知事。いまや石原タブーの崩壊が始まっています。
「九条守れ」
宗派超え宗教者も次つぎ
「憲法九条を守りたいという私たちの気持ちを一番まっすぐに受けとめてくれているのは『赤旗』です。本当の正論としてこの国を愛しているのも『赤旗』。これは私一人ではなく、いま宗教者の多くが共有している気持ちではないでしょうか」――こう語ってくれたのは浄土宗総本山知恩院布教師会顧問の岩波昭賢さん。日本基督教団総会議長の山北宣久さんも「『赤旗』は単に一政党機関紙であるだけでなく憲法を大事にするすべての人々のよりどころ」と話してくれました。
これまでシリーズで掲載してきた「いま憲法九条を 宗教者は語る」に登場した宗教者は、有名寺院の住職やカトリックの枢機卿など二十四人になります。思想の違いを超えた幅広い共同の象徴として注目を集め、宗教者ならではの深みのある「言葉」に感銘の声が寄せられています。
大手全国紙がまともに報道しない「九条の会」の取り組みを〇四年六月の発足時から大きく報道。全国各地で広がる地域・職場・学園での「九条の会」の活動を追い、保守や無党派の人々を含め九条に寄せる熱い思いや運動の到達点をリアルタイムで紹介し、全国の運動をつないできました。いま「九条の会」は全国で五千六百を超えています。
改憲の旗をふってきた「産経」は、「朝日」「毎日」「読売」「日経」の四紙の社説を検証し、「護憲派が姿を消した」と断じました(〇五年十月)。いま憲法擁護の立場に立つ全国紙は「赤旗」だけです。
自民・民主・公明各党をはじめ改憲派の動向や国会での改憲論議のリアルな実態も報道。これに反対する国民のたたかいを紹介する記事が満載です。いま改憲手続き法案について“九条改憲と地続き”という本質を明らかにしています。
偽装請負告発
直接雇用への道をひらく
ワーキングプア(働く貧困層)をつくる違法な偽装請負を早くから告発して、直接雇用への流れをつくってきたのが、「赤旗」日刊紙と日曜版でした。
「貴社の二年におよぶ奮闘が大きく結実した結果だ。直接雇用になって本当によかった」「息子も低賃金で働いている。記事を息子に見せたい」――。編集局に届いた読者の声です。
偽装請負追及で大きな役割を果たしたのは、〇四年九月に全労連の労働組合を結成した徳島県の光洋シーリングテクノの請負労働者たちです。日曜版は、請負労働者たちのたたかいの炎を翌月、メディアで真っ先に報道しました。
トヨタ車の部品をつくる請負労働者たちは、時給が千百円で契約期間は二カ月。いつでも使い捨てにされる労働者たちでした。実際には派遣労働なのに、業務請負といつわって働かせる違法がまかり通っていたのです。
日曜版の追及から二年後の〇六年九月、テクノの請負労働者は、直接雇用を実現し、正社員化への道も約束させました。メディアもこぞって報道。非正規労働者たちに希望を広げました。
偽装請負を告発し、直接雇用になった松下プラズマディスプレイ(大阪府)の吉岡力さん(半年で解雇され、裁判闘争中)のたたかいを最初に取り上げたのも日曜版(〇五年十月)でした。松下は、正社員をクリスタル系の請負会社、コラボレートに出向させて指揮するという偽装請負隠しまでやりましたが、労働者のたたかいとメディアの追及で、厚生労働省は違法と断定しました。
「赤旗」は、日本経団連会長会社のキヤノンや日亜化学(徳島)、愛知のトヨタ系企業などでの偽装請負も告発。直接雇用や正社員の道を切り開きました。独自に入手したクリスタルの極秘資料(大企業の工場別請負労働者数)などをスクープし、大企業が非正規労働者を大量に使って利益をあげるカラクリを明らかにしてきました。