2007年1月28日(日)「しんぶん赤旗」
軍政時代の人権弾圧を追及
「国家機密」の守秘義務免除
アルゼンチン
【メキシコ市=松島良尚】アルゼンチンのキルチネル大統領は二十六日、公務員や警察官、軍人に課せられている国家機密の守秘義務を「国家テロ」や人権侵害問題に限って免除する政令に署名しました。関係者の責任を問う裁判の障害を取り除くためです。
記者会見にあたったガレ国防相は「歴史的な措置だ」と強調。「目的は、司法行為を妨害する障害や口実をなくすことだ」と述べました。政令は退職、退役した人にも適用されます。
同国では、軍事政権時代(一九七六―八三年)の左翼活動家らに対する人権弾圧で約三万人が犠牲になりました。関係者の責任追及はキルチネル大統領の公約の一つです。最高裁は一昨年、当時の責任を不問にした二つの恩赦法を違憲とし、制定当時にさかのぼって無効としました。
その後、当時の政権幹部や軍関係者らに対する数多くの裁判が始まりましたが、国家機密の守秘義務が関係者の証言を妨げ、しばしば裁判を妨害するための口実にもなっていました。