2007年1月28日(日)「しんぶん赤旗」
「改憲手続き」
与党が揺さぶり
「単独採決も」民主、対応に苦慮
安倍晋三首相が施政方針演説で、改憲手続き法案の「今国会での成立を強く期待する」と表明したことを受けて、成立へ向けた与党の動きが急になっています。参院では二十五日に手続き法案審議の舞台となる憲法調査特別委員会が自民、公明などの賛成で設置されました。同委員会の理事に就任した自民党議員は「総理がそういう以上、この国会であげる(成立させる)ということになる」と明言しました。
与党と民主党は昨年末、衆院憲法調査特別委員会を舞台に与党、民主両案の共同修正の方向を合意。共同修正へ詰めの作業が進めば通常国会冒頭で衆院を通過させ、早い段階から参院での審議を進め「早期成立」をはかるシナリオも検討されていました。
いま与党は、政局をにらんで採決時期を探る民主党の対応を見守っていますが、「できるだけ共同で成立させる方向で二月中旬まで待つが、どうしても民主党が動かないなら、単独採決もやむを得ない」(自民党衆院憲法特委理事)としています。「単独採決にかけるのはこの間の民主党との合意を反映させた修正案になる。いまボールは民主党にある。向こうが考えるときだ」と、民主党に揺さぶりをかけていく方針です。
一方、民主党は「共同修正への動きは当分休眠状態」(党憲法調査会関係者)です。二十五日の国会開会時の同党両院議員総会でも、NC(次の内閣)閣議でも同法案成立へ向けての態度表明はありませんでした。
ある民主党関係者は「『民主党が改憲の国民投票法案に賛成するという報道は本当か?』という批判の電話が急に増えてきた。選挙を前にタイミングを考える必要がある」とこぼします。
その一方で、同党憲法調査会関係議員は「与党が単独採決する場合、反対するには理屈が難しい。苦しいところに追いこまれる」と語り、同関係者も「民主党案を90%以上のみこんだ与党案に反対するのは、自分の案に反対するようなもの。無理だ」といいます。
こうした状況を見て、昨年の臨時国会で強行された改悪教育基本法に携わった自民党関係者はいいます。
「昨年の教基法のときと同じ状況だ。共同修正を進め合意しながら政局を理由に反対にまわるなんて筋が通らない。もともと民主党と自民党とで改憲は争点にならないはず。こういう対応をして結局困るのは民主党だ」
改憲タカ派路線を押しだして保守層結集を狙う自民党、選挙での「対決」演出のため“自公民合作”批判を恐れる民主党――九条改憲と一体の改憲手続き法案を許すなの国民の声との矛盾は避けられません。