2007年1月27日(土)「しんぶん赤旗」
世界社会フォーラム閉幕
民営化反対、平和を
労組と社会運動の連携確認
【ナイロビ=岡崎衆史】アフリカ・ケニアのナイロビで二十日から開かれていた世界社会フォーラムが、二十五日に閉幕しました。各国から集まった約六万五千人の参加者(主催者推定)は、新自由主義反対、平和を求める運動を進めることを確認しました。
参加した主な非政府組織(NGO)の代表は、途上国の対外債務を先進国が帳消しにすること、また平和、民営化反対、女性差別解消、環境、温暖化問題、水問題などを重点課題として取り組むことを表明しました。
平和の問題では、戦争反対とともにすべての外国軍の撤退を呼びかけました。また、米国がイラクの石油を支配していることに反対するとともに、イラク内のすべての米軍基地を閉鎖するよう求めました。
水問題では二十四日、水民営化に反対するアフリカ諸国のNGOネットワークを結成。また主要NGOは、多国籍企業の労働者抑圧に対抗するため、労働組合と社会運動の連携を強化することでも一致しました。
二十五日の閉会式に参加したナイロビに住む女性問題の活動家、エマ・ジョキワマイさん(26)は、「初めてフォーラムに参加して、たくさんのエネルギーを感じました。債務、貧困、女性、同性愛者差別、多国籍企業による環境破壊など、途上国を苦しめるこうした問題を改善する運動を盛り上げる力になります」と興奮気味に話しました。
日本の政策で分科会
企業優先が貧困を増大
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【ナイロビ=岡崎衆史】ケニア・ナイロビでの世界社会フォーラムでは二十三日、日本の対外援助や国内政策を討議する分科会が開かれ、約五十人が参加しました。
参加者は、日本政府の企業優先の内外政策が国外では途上国の債務増大や公共事業の民営化を招く一方、国内では不安定労働を増やし、内外で貧困を増大させていることを告発。日本で相次いで開かれる今年五月のアジア開発銀行総会や来年の主要国首脳会議(G8サミット)に向け、企業優先の新自由主義政策反対の運動を強めることを確認しました。
途上国債務の帳消しを求める非政府組織(NGO)、ジュビリー九州の大倉純子さんは、日本の政府開発援助(ODA)について、「ODAプロジェクトは日本企業が受注し、途上国には債務だけが残る仕組みになっている」と批判。ケニアに三十年以上住む獣医の神戸俊平さんは、日本のODAで日本企業が進める事業がケニアで水汚染を引き起こし、多数のフラミンゴが死亡する深刻な環境破壊を招いていると報告しました。
インドで多国籍企業による途上国支配に反対する活動をしているビノッド・ライナさんは、「日本の企業に受注されたODA事業は、日本型の労働条件を押し付ける手段となるとともに、水や教育、医療など公共事業の民営化につながっている」と指摘。援助が日本型の過酷な労働の途上国への押し付けと新自由主義政策を進めていることを明らかにしました。
首都圏青年ユニオンの河添誠書記長は、日本では低賃金の劣悪な労働と貧困生活を強いられる「ワーキングプア」と呼ばれる青年が増大していると報告。携帯電話一本で仕事先を転々とする日雇いや、夜をシャワー付きの簡易宿泊所で過ごす例を挙げると、驚きの声が上がりました。
NGO「フォーカス・オン・ザ・グローバルサウス」のジェニア・ジョイ・チャベスさんは、「日本は豊かな国であり、もっと多くのことができるはずです。自分たちだけのことを考えたり、対米関係偏重ではない外交・援助政策、社会福祉の切り下げや労働条件の柔軟化など、新自由主義的ではない国内政策で他のアジア諸国のモデルになってほしい」と感想を語りました。
分科会は、アタック・ジャパン、ピープルズ・プラン研究所、世界社会フォーラム連絡会の三団体が共催しました。