2007年1月26日(金)「しんぶん赤旗」
モラル欠如いうが 背景に格差と貧困
給食費未納10万人
学校給食費を納めていない児童生徒数が約十万人にのぼるとした文部科学省の調査(二十四日発表)では、原因の六割を「保護者の責任感や規範意識」と分析しています。
しかし同調査では、約半数の学校が未納者数が増えたと回答。保護者の経済的な問題が原因と答えた学校は33%です。未納の背景に貧困と格差の広がりがあることがうかがえます。
全日本教職員組合の高橋信一教育財政部長は「今回の調査は保護者の責任感に中心が置かれていて、子どもたちの教育権を保障しようという目的ではない。単純に保護者のモラルの欠如と決めつけていいのか。調査の目的が徴収を厳しくするためのものに感じる」と話します。
文科省は調査結果を受け、対策強化を求める通知を都道府県などに出しました。そのなかで、就学援助制度の活用を求めています。
就学援助を受けている児童生徒は八人に一人にのぼっているのが現実です。しかも政府の地方財政切り捨ての政策で受けにくくなっている実態があります。就学援助制度の活用というなら、二〇〇五年度に廃止・一般財源化した国の補助金を復活させ、受けやすい制度にする責任が政府にはあります。
フィンランドでは給食費が高校まで無料です。北海道の三笠市では〇六年四月から小学生の給食費を無料にしました。給食費の問題では、保護者に対する徴収を厳しくするのではなく、こういった方向への改革が必要です。