2007年1月25日(木)「しんぶん赤旗」

国家介入・競争を強化

教育再生会議第一次報告

通常国会に関連法案


 安倍晋三首相の直属機関である教育再生会議(野依良治座長)は二十四日、首相官邸で総会を開き、第一次報告を正式決定しました。報告は昨年十二月成立の改悪教育基本法を具体化するものです。学校選択制や教員免許更新制、第三者機関による学校の監査システムを導入するなど、教育への国家介入を強化し、教育にさらなる競争と選別を持ちこむ内容になっています。

 安倍首相は報告を受けて、二十五日召集の通常国会に教員免許更新制導入のための教員免許法改定案、教育委員会「改革」として地方教育行政法改定案、学校教育法改定案の三法案を提出し、成立を目指すことを明言しました。

 第一次報告では、二〇〇二年度から小中学校で実施されている「ゆとり教育」の見直しを提言。授業時間の10%増とともに習熟度別授業の拡充、学校選択制の導入を掲げています。

 いじめを繰り返す子どもに出席停止措置の活用を明記。体罰禁止の緩和を念頭に三月末までに規定を見直すよう求めています。

 また、不適格教員を排除するとして教員免許更新制の導入を提言。学校や教育委員会に対する第三者機関による外部評価制度の導入も求めています。

 今後の検討課題には、学校週五日制の見直しや学校を予算で差別する教育バウチャー(利用券)制度の導入などを挙げました。

 再生会議は、政府の「骨太の方針」に反映させるため五月に第二次報告、年末には最終報告を決定し、改悪教育基本法のさらなる具体化を進める方針です。


第一次報告ポイント

 一、「ゆとり教育」の見直し。授業時間の10%増加。全国一斉学力テストの実施。習熟度別授業の拡充。学校選択制の導入。

 一、いじめや暴力行為を繰り返す子どもに対し出席停止措置を活用。「体罰」についての通知を二〇〇六年度中に見直す。

 一、高校での奉仕活動の必修化。大学の九月入学の促進。

 一、不適格教員の排除、教員免許更新制の導入。

 一、副校長、主幹などの管理職を設置。学校教育法の改定。

 一、第三者機関による学校、教育委員会の外部評価、監査システム導入。

 一、教育委員会の「抜本的改革」。


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管理強化容認できない

石井副委員長がコメント

 日本共産党の石井郁子副委員長は、教育再生会議の第一次報告についてメディアに問われて次のように答えました。

 教育再生会議は、発足以来、マスメディアにも非公開の“密室”で審議してきました。こういうやり方は、国民の権利にかかわり、切実な関心事となっている教育の問題を議論するやり方として、最もふさわしくないものです。

 今回の第一次報告は、いわゆる「ゆとり教育」を見直すことを“目玉”の一つにしていますが、中心的な内容は「全国学力テスト」の実施、「習熟度別教育」の拡充であり、競争教育をいっそう助長するものです。また、いじめについていえば、その中身が体罰を容認しかねないものとなっていることは重大です。

 今回の報告は、わが国の教育の根底にある「競争と管理」や、政府の教育介入を強め、改悪教育基本法の具体化につなげようとするものであり、容認できません。


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