2007年1月22日(月)「しんぶん赤旗」
イラク派兵の陸自幹部 本紙に胸中
犠牲者ゼロ 憲法のおかげ 9条変えない方がいい
「憲法の存在が大きかった。(戦争放棄の)9条はこのまま変えない方がいい」。イラク南部サマワでの「イラク人道復興支援任務」に参加した陸上自衛隊の制服幹部が帰国後、本紙のインタビューに応じ、憲法9条の重みなどその胸中を率直に語りました。
制服幹部は、自衛隊員から一人の犠牲者も出すことなく任務を遂行できた背景として、自衛隊独自の対応を除いた二つの要因をあげました。
一つは「日本ブランド」。第二次世界大戦で敗れ、広島・長崎への原爆投下などの深刻な戦災にあいながら、自動車、家電製品に象徴される世界第二位の経済大国にまで復興したアジア人の国、日本へのイラク人の共感です。二つ目に憲法の存在をあげました。
同幹部は「自分たちは米軍などとちがって、海外での武力行使を日本の憲法が禁じていることを一生懸命に説明した。イラクの人たちもそれを理解してくれた。そういうイラクの人たちによって自衛隊は結果的に守られたんです。その意味で憲法九条の存在の大きさを改めて実感した」と語りました。
安倍政権は、「防衛庁」から「防衛省」への昇格とセットで自衛隊の海外活動を「本来任務」に格上げし、米軍の「先制攻撃」戦争に呼応した海外での武力行使を可能にする憲法改悪=「戦争する国づくり」に走っています。
制服幹部は、米軍による「掃討作戦」、武装勢力による「テロ」などでイラク市民の犠牲が連日のように続くバグダッドを「向こうは地獄だ」としたうえで、憲法九条への思いを込めていいました。
「自衛隊員として憲法を議論できないが、(イラクの体験からも)自分としては憲法九条は変えないほうがいいと思う」