
2007年1月21日(日)「しんぶん赤旗」
セルビア議会選 きょう投票
コソボ独立が焦点/EU加盟問題も
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バルカン半島のセルビアで二十一日、議会選挙(二百五十議席)が投票されます。選挙戦の最大の争点は、国連暫定統治下にあるコソボ自治州の独立を認めるかどうかです。
コソボでは住民の九割を占めるアルバニア系住民が独立を求め、一九九八年からはセルビア系住民、セルビア政府の間で軍事衝突になりました。九九年の北大西洋条約機構(NATO)軍介入を経て、同年から国連コソボ暫定統治機構がコソボを暫定統治しています。
今回の選挙は、モンテネグロの分離独立後に制定された新憲法下で繰り上げ実施されます。同憲法はコソボを「不可分の一部」と定めていますが、独立を求めるコソボ自治政府側と領土不可分を主張するセルビア側の意見の隔たりは埋まっていません。
国連安保理に提案
コソボの最終的な地位をめぐって、両者間の交渉の仲介役を務めるアハティサーリ国連特使(前フィンランド大統領)は、選挙結果を見極めて二月に国連監視下でのコソボ独立を国連安保理に提案すると伝えられています。
今回のセルビア議会選では、コソボ独立に賛成するのは自由民主リストの一党だけ。独立反対の各党の間でもっとも強硬に反対しているのは民族強硬派といわれるセルビア急進党で、世論調査では、前回の選挙に続き今回も30%前後を得票、第一党になる見込みです。
タディッチ大統領らの民主党は、親欧米、NATOや欧州連合(EU)への早期加盟をめざしています。現在はコソボ独立反対の立場ですが、最終的には独立容認の方向といわれます。
穏健民族派のコシュトニツァ首相の率いるセルビア民主党は、EU加盟を掲げてはいますが、コソボ独立には反対。コソボ独立を認めないことでセルビアがNATOやEUに加盟できなくてもやむをえないという方針です。
そのほかに経済改革をめざすG17プラス、ミロシェビッチ元大統領の属したセルビア社会党などが立候補しています。
ロシアの態度は
コソボの最終的な地位をめぐっては、歴史的にセルビアと深い関係のあるロシアは、セルビアが承認しないかぎりコソボ独立は認めないと表明。国連から今年、暫定統治機構を引き継ぐEUは「冷静に責任を持って任務を遂行していく」(ソラナ共通外交安保上級代表)と事態を見守る構えです。
コソボの地位決定後も残る民族紛争の火種に備え、NATOは現在のコソボ駐留一万六千五百人体制を「少なくとも二〇〇八年までは続ける」(コソボNATO部隊司令官)予定です。(片岡正明)