2007年1月20日(土)「しんぶん赤旗」
きょうから世界社会フォーラム
エイズ・貧困など焦点
アフリカの地域紛争も
ナイロビで開催
【ロンドン=岡崎衆史】多国籍企業主導のグローバル化や新自由主義経済政策に反対して、公正で平和な社会を目指す第七回世界社会フォーラム(WSF)が東アフリカ・ケニアの首都ナイロビで二十日から二十五日まで開かれます。
フォーラムは初日、ナイロビ市内にあるアフリカ最大のスラム街キベラからのデモ行進で始まります。フォーラムにはノーベル平和賞を受賞したケニアの環境活動家のマータイさん(環境副大臣)、南アフリカ共和国でアパルトヘイト(人種隔離政策)廃絶のたたかいを導いたツツ元大主教も出席する予定です。
百カ国以上から市民活動家や非政府組織(NGO)のメンバー、労働組合員、研究者、宗教者など合わせて八―十五万人が集まり、「もう一つの世界」実現を目指して、分科会やセミナーなどで議論や交流を行います。
昨年は南米のベネズエラ、南アジアのパキスタン、西アフリカのマリの三カ所で分散開催されましたが、アフリカ単独で開催されるのは今回が初めて。アフリカで特に深刻な問題となっているエイズ、貧困、債務問題などの討議が重視される見込みです。
国連エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)が昨年十二月に発表した報告書によると、世界のエイズウイルス(HIV)感染者の63%、世界のエイズによる死者の72%はサハラ以南のアフリカ諸国に集中しています。
平和の問題では、アフリカの地域紛争が取り上げられる予定。スーダンのダルフール地方での住民虐殺とともに、ソマリアへのエチオピア軍の侵攻や駐留、同地での米軍空爆による住民殺害問題も話し合われる見込みです。一方、米兵増派が進むイラクの問題や米政府の強硬姿勢で緊張が高まるイランをめぐる議論も注目されます。
労働組合は、劣悪な労働条件で途上国の人々を働かせる多国籍企業の横暴を批判し、「人間らしい労働、人間らしい生活」を求めるキャンペーンを行う予定。また、青年の失業問題も重視しています。
世界社会フォーラムはスイスのダボスで開かれる世界経済フォーラムに対抗して、公正で民主的な経済秩序の確立や戦争のない平和な世界を目指して二〇〇一年に世界の市民レベルの運動として始まりました。これまで〇六年の三カ国に加え、ブラジルのポルトアレグレ(〇一、〇二、〇三、〇五年)、インドのムンバイ(〇四年)で開かれました。NGOのみの運動から、近年は、ブラジルやベネズエラの大統領など各国の首脳や閣僚、国連や世界銀行など国際機関の代表が出席しており、参加者の幅が広がっています。