2007年1月20日(土)「しんぶん赤旗」
石川島播磨
40年の思想差別反省
労働者175人と和解 再発防止を約束
「会社に思想差別を反省させた」―。総合重機大手の石川島播磨重工業(本社東京都)は十九日、日本共産党員やその支持者とみなした労働者に対する思想差別を反省し、詳細な再発防止策を約束しました。
労働基準監督署に是正指導を申告していた「人権回復を求める石川島播磨連絡会」の現役労働者や退職者ら百七十五人と東京都内で和解協定を締結。「大企業が初めて思想差別と人権侵害について明確に『反省の意を表明』したのは、画期的な意味を持つ」(弁護団の菊池紘弁護士)ものです。
「ただいま調印しました」。弁護士が、かたずをのんで控室で待機していた労働者や家族二百人に報告すると大きな拍手。肩をたたき合って喜び合い、目頭を押さえる人の姿も目立ちました。
同社は、「ZC(ゼロ・コミュニスト=共産党員撲滅)計画」を作成し、賃金・資格での差別、仕事の取り上げ、歓送迎会や職場行事からの排除など四十年にわたり、系統的な差別をくりかえしてきました。さらに、個人名をあげて党員らを監視、管理する「厳秘」の「個別管理計画」の存在も判明しました。
和解で結ばれた再発防止協定では、労基署に申告していた労働者に差別的な人事管理が二度と行われないよう労務政策を徹底すると表明。「従業員に対する思想差別、性差別、不当労働行為を行わない」とし、やってはならない差別行為を具体的にあげ、全社員に徹底するとしています。行事などは全員に声をかけ、声をかけない場合は中止勧告をすることを取り決めました。また、在職者の差別賃金を抜本的に是正し、退職者を含めて解決金を支払います。
調印後の報告集会には約三百人が参加。「よかったな」と声をかけあいました。日本共産党の笠井亮、高橋千鶴子両衆院議員もかけつけました。
「私がエレベーターに乗っていると、誰も一緒に乗らないという差別を受けてきた」と話すのは、横浜市の金子茂男さん(60)。思想差別で不当な評価を受け、定年後の再雇用を拒否されていましたが、和解で再雇用されることになりました。「あらゆる差別を許さない職場をつくっていく足がかりができました。職場に戻って実現したい。たたかってきて良かった」
再発防止協定の概要
(1)会社は申告者・原告に対し、賃金・資格、仕事、行事参加などで差別的な人事管理が行われたと受けとめられてもやむをえない状況があったことを認め、反省の意を表明し、今後、労務政策として再発防止を徹底することを確約する。
(2)会社は従業員に対する思想差別、性差別、不当労働行為を行わない。
(3)コンプライアンス・ガイド(法令順守の手引書)を作成し、ホームページへ掲載する。基幹職の教育で必読資料として活用する。
(4)和解内容をすべての従業員へ周知し、職場融和のための働きかけを徹底する。行事は全員に声をかける。声かけを励行しない従業員・団体には行事の中止を勧告する。
(5)申告者が在籍している関係会社にも同様の措置を会社が求める。
(6)履行に疑義が生じた場合は、会社は協議の場を設け、誠実に対応する。