2007年1月19日(金)「しんぶん赤旗」
イラク米軍増派に反対
上院超党派で決議案
「大統領は無視」と報道官
【ワシントン=山崎伸治】米上院の超党派の有力議員が十七日、ブッシュ大統領の発表したイラク駐留米軍増派に反対する決議案を提出すると発表しました。共和党議員が加わる増派反対決議案は初めて。戦争反対の世論を反映して、イラクからの米軍撤退や増派反対についてはこれまでに、上下両院で合わせて九件の法案・決議案が提出されています。
新たな決議案の提出を発表したのは民主党のバイデン外交委員長、レビン軍事委員長、共和党のヘーゲル議員(外交委員会同党筆頭委員)の三氏。ヘーゲル氏は「大統領が先週水曜日(十一日)の夜に表明した政策を止めるため、何でもする」と会見で表明しました。CNNテレビなどによると、共和党内には決議案に同調する動きがあり、スノー上院議員は同日、賛成を表明しました。
決議案は米軍の撤退や予算凍結を求めていませんが、「イラクでの米軍駐留の拡大により、イラクで軍事的関与を深めることは米国の国益にはならない」と指摘。治安安定などの任務を速やかにイラク側に移譲するよう求めています。
これに対しスノー大統領報道官は、「大統領には最高司令官としての義務がある。彼は突き進むだろう」と述べ、決議案が可決されても、それを無視して増派を強行する方針を示しました。
このほか上院では、イラクへの増派に反対する法案が二件、撤退を求める法案が一件、すでに提出されています。
下院でも同様の決議案二件、法案四件が提出されています。このうち民主党のファー議員が提出した法案は、二〇〇二年の対イラク武力行使容認決議を廃棄し、イラクに派遣された米軍部隊を撤退させるよう大統領に命じる内容です。