2007年1月19日(金)「しんぶん赤旗」

2.01に フランス出生率

欧州でトップクラス

時短・保育園無料など背景に


 フランスで1人の女性が一生に産む子どもの数を示す合計特殊出生率が昨年、2.01となったことが、16日に発表された国立統計経済研究所(INSEE)の人口統計で明らかになりました。前年は1.94でした。同研究所は「ほとんど確実に」アイルランドを抜き、フランスが欧州でトップになったとみています。(パリ=浅田信幸 写真も)


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(写真)パリ近郊の保育園で遊ぶ園児たち

 昨年生まれた子どもの数も八十三万九百人(前年比二万三千百人増)と、一九八一年以来二十五年ぶりの高い記録。仏メディアは「ミニ・ベビー・ブーム」だと報じました。今年一月一日現在の人口も2・9%増の六千三百四十万人となりました。

 日本をはじめ先進国はほとんど出生率の低下に悩んでおり、欧州も例外ではありません。人口の維持に必要な出生率は二・〇八といわれますが、欧州連合(EU)の平均は一・五二。EU最大の人口をもつドイツはこれを下回る一・三八で、この一月から少子化対策として育児休業中の収入を保証する「親手当」の支給を開始しています。

 一九九四年には一・六八まで落ち込んだフランスの出生率回復について、仏家族協会の代表は「家族生活と職業生活をよりよく両立させるために国が十二年以上も前から取り組んできた野心的な家族政策の成果だ」とメディアに語っています。

 週労働三十五時間制、パート労働における正規労働者との均等待遇など労働法制の面で日本より整備され、私的な生活時間が確保されているだけでなく、最大の特徴は子育てへのきめの細かい経済的援助にあります。

 出産手当にはじまり、満三歳までの育児基本手当、働く親への育児手当、ベビーシッターや保育士を家庭で雇う際の補助金などがあります。また直接の給付ではありませんが、二歳児から六歳児までを対象とする保育園はすべて無料であることも特筆されます。

 教育費が日本と比べてきわめて低いことは、子どもを育てるうえでの有利な条件でしょう。たとえば大学で学ぶのに必要な「学費」はフランスでは「登録料」と呼ばれますが、日本円にして年間二万円少々ですみ、大学院修士課程で三万円、博士課程で四万五千円程度しかかかりません。

 「子どもをつくるのは、結局のところ将来への信頼にもとづくものだ」―経済景気観測機関(OFCE)のフィトゥシ局長は出生率上昇にこうコメントしています。

 その「信頼」は、完全とはいえないにしても多面的な分野で国民の立場に立った施策が実行されてこそ生まれるのだということをフランスの例は示しています。

グラフ
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