2007年1月18日(木)「しんぶん赤旗」
主張
労働時間の規制撤廃
完全に断念させるまで運動を
事務系労働者を何時間働かせても残業代を支払わない「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入をめぐり、安倍首相が、「今の段階では難しい」とのべました。二十五日開会の通常国会への法案提出断念を表明したものです。
日米財界の圧力を告発
労働基準法が定める「一日八時間、一週四十時間、残業すれば割増賃金を支払う」という労働時間の規制は、人間らしい生活を保障するための働くルールの大原則です。ホワイトカラー・エグゼンプションは、この原則を根本から崩し、規制を除外(エグゼンプション)された労働者から残業代を取り上げるとともに、長時間労働の野放しを合法化するものです。「残業代ゼロ制度」とも「過労死促進法」ともいわれてきました。
こうした危険な内容が明らかになるにつれ、国民の反対が広がりました。安倍首相の見送り発言は、世論と運動の反映です。
日本共産党と「しんぶん赤旗」は、サービス残業の根絶など職場の無法一掃と結んで、長時間労働野放し・残業代取り上げの危険なねらいを明らかにしてきました。ホワイトカラー・エグゼンプションは労働者・国民の要求ではなく、日本経団連の号令と米国の圧力のもとに出されていると告発してきたのも、日本共産党と「しんぶん赤旗」です。
二〇〇五年六月に日本経団連がホワイトカラー・エグゼンプションに関する「提言」を出したさい、志位和夫委員長は、この財界の「提言」を「サービス残業を『合法化』せよという策動」と告発しました(日本共産党創立八十三周年記念講演、〇五年七月二十日)。まだ、ホワイトカラー・エグゼンプションという言葉が耳慣れない時期でした。
翌年一月の第二十四回党大会では、労働時間の規制緩和など労働法制の改悪にたいし、「全労連とともに連合も反対しており、政府・財界との矛盾は、ここでも深刻なものとなっています」とのべ、たたかいを励ましてきました。
米国の政府・財界の圧力について、本紙が昨年三月七日一面で初めて報じ、六月の日米投資イニシアティブ報告書で明らかになりました。十二月十二日参院厚生労働委員会での小池晃参院議員の質問に、政府も、財界とともに米国の要求があることを認めざるをえませんでした。
ホワイトカラー・エグゼンプション制度が、日米財界の圧力で出てきたことが、マスメディアでもとりあげられるようになり、国民の目にも明らかになりつつあります。
安倍首相は、国会提出見送りの理由を、「働き方の問題だから、国民の理解が不可欠」だが、今の段階では「理解を得られていない」とのべています。国民の要求からではなく、日米財界のいいなりで制度を検討してきたことが根本的に矛盾を引き起こしているのです。
無法の一掃と結んで
安倍・自公政権は、ホワイトカラー・エグゼンプション制度の導入をあきらめたわけではありません。法案提出断念には、夏の参院選を前に、一時的に国民の批判をかわし、選挙後に提出するねらいもあります。
日本共産党は、今国会への提出をさせないことはもちろん、参院選後に持ち出そうとする動きを含めて完全に断念させるために、国会内外でたたかいぬきます。サービス残業と偽装請負という無法を一掃する職場からのたたかいと結んで、国民とともに全力を尽くします。