2007年1月17日(水)「しんぶん赤旗」
増税ごまかす政府
“負担変わらず”とPR
実際は定率減税全廃で負担増(6月から)
「一月分から所得税(国税)が減り、そのぶん六月分から住民税(地方税)が増えることになります」「負担は基本的には変わりません」―。財務省や総務省が、インターネットのホームページ上に特設コーナーを設けて宣伝しています。本当に負担は変わらないのか?
サラリーマン世帯の場合、その多くは一月に給与から天引きされる所得税額が減額され、手取り収入が増えます。これは、税源移譲に伴う影響が定率減税廃止による増税額を上回り、一月から五月までは、差し引き見かけ上減税になる現象です。
一方、六月には住民税の定率減税が全廃されます。さらに税源移譲分も含め、大幅に住民税額が増税されることになります。このため、六月からは増税になります。(表)
結局、一年間を通してみると、税源移譲だけに限った所得税、住民税額の合計額は変化しないものの、定率減税全廃による増税が庶民に押し付けられることになります。
サラリーマン世帯以外では、増税になる時期は世帯の所得のあり方によって異なります。例えば、年金生活者の場合、二月に減額された所得税は、その分も含めて六月に住民税増税にはね返ります。自営業者の場合、住民税増税の影響が先に現れ(六月)、所得税の減額は来年の確定申告の時期(予定納税の場合は今年七月)になります。
さらに、所得の少ない高齢者の場合、住民税の非課税限度額が昨年廃止された影響が今年も続きます。六月には、定率減税全廃による増税に加え、非課税限度額廃止に伴う増税が上乗せされることになります。
増税批判をかわすために、財務省や総務省がいくら「負担は変わらない」と宣伝してみても、“庶民に増税、大企業に減税”という事実は消せません。
税源移譲 国と地方の税財政にかかわる「三位一体の改革」の一環として、所得税(国税)から個人住民税(地方税)へ、税金が移し替えられること。具体的には、これまで10、20、30、37%となっていた所得税率を〇七年分(一月)から5、10、20、23、33、40%に変更。現行5、10、13%となっている住民税率を〇七年度分(六月)から一律10%に変更します。財務省や総務省は、税源移譲に伴う個々の納税者の負担は、基本的には変動がないとしています。これらによる税源移譲の規模は三兆円とされています。
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