2003年1月11日(土)「しんぶん赤旗」
高知県では、やみ融資事件(別項)の追及をきっかけに県政最大の「ガン」といわれた、乱脈・不公正な同和行政が大きく転換しました。山本卓元副知事らが背任罪に問われた公判が昨年十二月二十五日、高知地裁で結審。判決は三月二十六日に言い渡されます。(高知県 浦 準一記者)
|
県議会に設置された百条委員会は一年二カ月の間に、のべ五十九人を証人尋問。地方自治法第百条にもとづく証言拒否、偽証、出頭拒否を理由とする刑事告発がのべ十人、委員連名による、刑事訴訟法第二三九条にもとづく詐欺、背任、背任未遂の刑事告発がのべ十六人にのぼりました。
元副知事らが背任罪などで逮捕、起訴され、真相究明は法廷の場でも行われています。
百条委員会には、日本共産党議員団から、梶原守光、公文豪両県議が入り、梶原議員は偽証等告発検討小委員会の委員長も務め、追及の先頭に立ちました。
同時に、党議員団は、「解同」(部落解放同盟)の圧力と、それに屈服した、ゆがんだ同和行政が事件を引き起こしたことを明らかにし、同和行政の是正のために奮闘しました。橋本大二郎知事は、〇一年二月議会で、「手をつけなければいけないと思いながら、手をつけられないままにきた課題がいくつかあります。その一つが、本来あるべき人権対策から外れて団体対策になっていたのではないかと指摘を受けた同和対策事業です」と、是正に取り組んでこなかったことに反省を表明。五月には県内各地で県民と直接対話し、「解同」との「癒着」を断つことを約束し、〇二年の二月議会で同和行政の終了を表明しました。
具体的には、同和団体補助金の全廃、同和対策本部や同和対策課の廃止などの改善策が次々と打ち出されました。〇二年度は、七十三の同和事業のうち、四十九事業を終了・廃止し約三十三億円削減しました。現在、残っている事業は、受けている子どもが卒業するまで支出せざるをえない同和奨学金など経過措置としてやむをえないもののみ。事実上、同和行政は終結しました。
県は「解同」の確認・糾弾会への不参加を表明。団体交渉も公開し、県民に知らせています。
市町村でも県と歩調を合わせるように、前進がはじまっています。
これまで団体補助金を出してきた三十七市町村のうち、十六市町村が経過措置も含め全廃を決め、十五市町村が半額以下に減らしています(党県議団の昨年四月末の調査)。
「同和」を冠した機構はほとんどの市町村でなくなり、残っているのは高知市(同和対策課)、赤岡町(同対産業課)の二自治体のみです。
広範な労組、民主団体が結集し、同和行政の終結に向けて運動してきた高知県人権共闘会議の窪田充治副議長は語ります。「高知県政は同和問題の解決へ大きく変化、前進しました。市町村では、県の姿勢をみて、団体補助金の廃止や同和行政の終結を決めるところが出るなど、大きな影響を与えています。日本共産党はゆがんだ同和行政の是正のために一貫してがんばってきました。六人の議員団がいなかったら、やみ融資事件の追及はできなかったと思います。百条委員会を完全にリードしました」。
「解同」の「巻き返し」にも県は、きぜんと対応しています。
「解同」は〇二年三月、県に対し同和行政の基本方針や推進プランをつくることを要求。これに対して県は「同和地区や同和関係者のみを対象とした基本方針や推進プランを作成する考えはありません」ときっぱりと回答しています。
県は〇二年三月、全日本同和対策協議会から脱会しました。「解同」は九月に、県にたいし、同協議会への早期復帰を求めました。これに対して県は、復帰する考えのないことを明確にしています。
やみ融資事件 高知県が、同和関連の縫製業の協業組合「モード・アバンセ」(倒産)に、約十四億円の高度化資金を不正融資し、さらに、約十二億円をやみ融資して、合計約二十六億円を焦げ付かせたもの。二〇〇〇年三月に発覚しました。日本共産党議員団の奮闘で、四十七年ぶりに県議会に百条委員会が設置されました。