2002年12月28日(土)「しんぶん赤旗」
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創価学会と池田大作名誉会長礼賛報道や池田氏の署名記事が新聞やテレビに相次いで登場。特定の宗教教団に対する破格の扱いにマスコミ内部からも批判や疑問の声が起きています。
全国紙では「朝日」が昨年五月に池田氏の署名記事を掲載したのに続き、「読売」「毎日」「産経」もインタビューを大きく載せました。地方紙も池田氏の名誉称号受賞記事や署名記事を掲載。掲載紙は昨年五月に四十紙を超し、その後も増えつづけています。
とくに池田氏は今年、「日中国交正常化三十周年」をテーマにした署名記事を各地方紙に掲載。国交正常化を「提言」したのは自分だとし、故周恩来首相との親交を誇示しました。
一教団の指導者を特別扱いするやり方に、新聞社内部からも「掲載経過が不透明」「不偏不党の理念に照らしてどうか」などの声が出ており、この問題の討議資料をつくる労働組合もあります。
元NHK記者の川崎泰資椙山女子大教授はそうした討議資料に「広告から記事へ、紙面ジャックで深まる『学会汚染』」という文章を寄せ、「各社とも創価学会の広告や受託印刷による金権支配に屈し、言論の自由、編集の自由より、営業の自由を優位に置くメディアの腐敗に他ならない。これでは選挙の公明党票ほしさに、主義主張を捨てて創価学会に擦り寄る政治家と新聞社は何ら変わるところがないではないか」と指摘しています。
聖教新聞等の印刷委託で“特別の関係”をつくる学会戦略はかねてから有名でした。公明党の政権参加(九九年)ころから目立つのは、定期的な巨大広告や池田礼賛記事の増加。「池田大作先生の講演要旨を来年(〇三年)1月より2年間特集掲載します!」(神奈川新聞販売所)とキャンペーンする地方紙も出ています。こうした記事について「一種の記事広告的扱いで、業務局が担当」(千葉日報)と、実態として広告収入目当てであることを認める新聞社もあります。
これらの記事に共通して目立つのは「(日中)国交正常化をいち早く呼びかけた」(東奥日報)など池田氏への破格の評価。前出「産経」インタビューで池田氏は、創価学会・公明党が起こし、自ら謝罪講演までした言論出版妨害事件(六九、七〇年)を、事実に相違して「侮辱の作り話などに反発し、怒るのは当然」などと発言。こんな歴史偽造発言もそのまま掲載されています。
一方、千葉県の創価学会組織部は、記事掲載の「千葉日報」買い取り申込用紙を作成、「友好対策、学会理解の拡大に活用」するよう、県下の学会組織に指示しています(「友好」は選挙での集票準備でもある)。昨年十二月の学会本部幹部会で正木正明東京長は「先生の記事が掲載されるたびに…聖教啓蒙(拡張のこと)、折伏・弘教の快進撃につながった」(聖教新聞〇一年十二月十五日)と、このメディア戦略が布教活動に直結していることを明らかにしています。