2002年12月25日(水)「しんぶん赤旗」
「町民の誇り」「文化的価値の高い小学校を解体するな」と強い住民運動の起きていた滋賀県豊郷町の豊郷小学校で二十四日、大野和三郎町長が解体計画を断念。学校を守れと泊まり込みでつめかけていた住民は大歓声をあげて喜びました。工事差し止めを命じた裁判所決定を踏みにじり、学校の窓や天井、床などを破壊する工事強行を命じた町長は、住民の怒りの前に、強行からわずか四日目に破たんに追いこまれました。
大野町長は同日、文部科学副大臣と会い、同小学校を登録文化財として保存し、国の改築補助予算約二億円を補修費用にあてる提案に同意しました。このニュースは、「豊郷小学校の歴史と未来を考える会」の本田清春代表に伝えられました。しかし町長は、学校敷地内に別の校舎を建設する考えを示しており、学校として再生を願う会代表が二十六日に、文部科学省へ要請に上京します。
本田代表は「正しいことは勝つという、単純だが重い事実を子どもたちに示せたことが一番うれしい。夢のある学校に再生してほしい」と喜びを語りました。日本共産党の高橋直子町議も「正義は勝つ、それが実現できて感無量です。理不尽を許さない、住民が手をつないで実現できました」、また同じく岸田正太郎町議も、町長にリコール請求を突きつけていることで、「住民にこれだけ迷惑をかけた町長は、リコールを待たず辞職すべきだ」と指摘しました。
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大野町長は同日夜の記者会見のなかで、校舎に泊まり込んでいる住民の退去を求め、大津地裁に仮処分申請をしたことを明らかにしました。
文部科学省施設助成課の笠井課長補佐は二十四日、滋賀県豊郷町の「豊郷小学校を残す」と、日本共産党の石井郁子衆院議員に連絡してきました。同町の大野町長が文科省の河村建夫副大臣と会い、校舎は文化財として残し、敷地内に新たな校舎を建設することで合意したというものです。
石井議員は、十月十日に現地の小学校を視察、「豊郷小学校の歴史と未来を考える会」と懇談するとともに、再三、文科省に対して、校舎の保存を要請していました。二十三日には、穀田恵二衆院議員が現地視察、それをもとに河村副大臣に保存を要請していました。