2002年12月22日(日)「しんぶん赤旗」
車の代金を支払ったのに納車されない――。インターネットを使った自動車の新車販売で、トラブルが続発しています。国民生活センター(東京・港区)も「今年に入って苦情が急激に増えている。高額商品である車の販売トラブルとしては詐欺ともいえぬ新しいタイプ」と注目しています。
千葉県在住の会社員、Aさん(40)は八月、値段の安さにひかれ、インターネットディーラー「クイック」(佐藤治社長、東京・品川区)とホンダ「オデッセイ」の売買契約を結び代金、全額二百八十万円を払い込みました。
しかし、納車について同社は、Aさんの何回もの督促に「納車日を調整しているので詳細は後日、連絡する」などと「不誠実」な対応に終止。不安になったAさんは本社を訪れ交渉、弁護士にも相談し、納品日を約束させる内容証明郵便を送りつけました。やっとの思いで車を手にしたのは今月十八日。契約から四カ月を要しました。
国民生活センターの統計によると、二〇〇二年度(現時点)の、四輪車インターネット通信販売にかんする苦情件数のうち「商品未着に関する」苦情は三十二件。「自動車公正取引協議会と協力して一部の業者に改善を申し入れている」としています。
東京合同法律事務所の岡部保男弁護士の話 通常、利用者はネット業者の経営状態や商売の仕組みまで分からない。高額の商品の売買にあって不確定要因が多いうえ法的な保護も実質ない。利用者は危険性を十分に考慮する必要がある。
電子商取引推進協議会(東京・港区)の調べでは、インターネットを使った自動車販売の市場規模は、二〇〇〇年度が二千二十億円、二〇〇一年度は一・七倍の、三千四百七十億円に達しています。