日本共産党

2002年12月20日(金)「しんぶん赤旗」

IBMは雇用と労働条件保障を

労働者800人 新会社への移籍発表から3ヵ月半


 日本IBM(本社・東京都港区)が、ハードディスクドライブ部門の労働者八百人を新会社に移籍させると発表してから三カ月半。JMIU(全日本金属情報機器労働組合)日本アイビーエム支部は、「会社は十分な協議をつくし、雇用と労働条件を保障しろ」とたたかいをすすめ、労働者の組合加入が相次いでいます。(内野健太郎記者)

同意ない転籍やめよ

 IBMがすすめる分割・新会社設立は、会社分割法によって新会社をつくり、労働者をそこに移籍させます。この新会社の株式をIBMと日立との合弁会社に譲渡し、日立のハードディスク事業部門を吸収します。IBMが30%出資しますが、三年後には日立の100%出資となります。

 IBMのハードディスク部門は”最大赤字分野”といわれてきた部門です。「不採算部門切り捨ての会社分割では」と、労働者の不安が広がっています。

 日本IBMと日立では、賃金や労働条件に大きな格差があります。日本IBMの三十五歳の労働者(製造)は本給二十三万円で、手当を含めて月収四十二万円なのに、日立では三十四歳(技能)の場合、基本給十万円、月収三十万円です(JMIU調べ)。

 会社分割法による新会社は、労働条件も承継されますが、新会社は一日しか存在せず、日本IBMは「労働条件の承継も一日だけ」と強弁。新会社での労働条件の説明を拒否してきました。

 JMIU支部は、「本人の希望を尊重し、同意なく転籍をおこなうな」「雇用と労働条件について保障し、不利益変更をするな」などの要求をかかげビラを配布。ストライキを背景に、団体交渉を重ねてきました。地域労連の支援も受け、駅頭宣伝やビラの配布もしてきました。

 不当労働行為の救済を申し立てた神奈川県地方労働委員会は、誠意をもって話し合うよう日本IBMに勧告しています。

 横浜地裁には、組合員二十七人が労働契約を新会社に承継する効力を停止する仮処分を申し立てました。労働契約承継法で定めた労働者の「理解と協力」を得ておらず、労働条件の不利益変更をおこなう可能性が高いからです。

 国会でも日本共産党の木島日出夫衆院議員がとりあげ、労働者も会社分割無効の訴えができると答弁させました。

労組に加入相次ぐ

 「こんなに仲間が増えました」――IBMハードディスク部門の一つ、藤沢事業所のある神奈川県藤沢市で十一日に開かれた総決起集会。支援につめかけた二百人を前に、移籍の対象となる同事業所ハードディスク部門の組合員らが演壇前に並びました。三カ月半のたたかいで組合員は五人から二十七人と五倍強となりました。

 「組合に入ったのは、会社のやり方があまりにおかしいと思ったから。身勝手なリストラとはたたかう」、「一人ではたたかえないと組合に入りました。入って一人でないということがわかりました」。次々と決意をのべる新組合員たちに、大きな拍手がわきました。

 「労働組合に入って本当によかった。地域の人も弁護士も本当に一生懸命支援してくれる。当事者でもないのにすごい」と新しく労働組合に入った藤沢事業所の四十六歳の男性はいいます。「自分はIBMはいい会社だと思っていた。それで労働組合に入らなくてもいいと思っていた。いまは、たたかうことで家族が守れると感じています」

 「労働組合とは無関係だと思っていた」というのは、同じ新組合員の三十五歳の男性。「でも、いま自分は当事者。藤沢で働き続けられるのか、給料はどうなるのか、本当に心配。藤沢で家を買って、これからローンを払わなければならないんです。横浜地裁の申し立てにも加わりました。自分はすじの通ったことをしているのですから」


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