日本共産党

2002年12月19日(木)「しんぶん赤旗」

シリーズ 予算編成にみる小泉政治

税制「改正」

景気回復に役立たず


 「家計に税負担じわり」「戦後初の本格所得増税」。「経済活性化」のための「先行減税」が売り物だった与党の二〇〇三年度税制「改正」大綱を、マスコミはこう報じました。「減税」どころか国民に大増税となる内容は隠しようがないからです。

 今年度の国の一般会計税収は、予算額を二兆五千億円以上下回ることが確実です。その一番の原因は自民党政治の失政です。深刻な不況で企業も個人も所得が減り、消費も落ち込んだからです。

黒字企業向け

 自民党政治が繰り返した大企業や一部の高額所得層向けの優遇も税収を減らす原因になりました。個人所得税の最高税率は、70%から37%に、法人税も「累次の税率引き下げ」(政府税調答申)がおこなわれたのです。

 政府・与党が目玉にしたい「先行減税」は黒字企業向けが中心です。規模は一兆八千億円。黒字企業の研究開発やIT(情報技術)投資だけで一兆二千億円の大盤振る舞いです。その他、証券関係税制や相続・贈与税の税率引き下げが並びます。

 またまた、税収「空洞化」に一役買ってきた大企業や大金持ち減税の繰り返しです。これで「経済活性化」ができるのでしょうか。投資や研究開発が停滞するのは、景気が悪くて需要がないためです。その原因を取り除く手当てをしないで、税金だけまけてみても、企業の投資が増えるようにはなりません。浮いた税金は、借金の返済などに回ってしまいます。

 景気回復につながらない大企業「減税」を「先行」した後には、国民への大増税が待っています。失業や賃下げで収入が減ったのが税収不足の原因の一つだというのに、このうえ増税では景気は悪くなるばかりです。

「中立」の中身

 配偶者特別控除(三十八万円)が廃止されると、夫婦と子ども二人(うち一人は高校生か大学生)の平均的世帯(年収三百万〜一千万円以下)では、年収に応じて年間八千円から九万四千円までの負担増になります。

 中小企業も消費税の特例措置廃止で大変な負担増です。消費税を納める義務のなかった年間売上高三千万円〜一千万円の事業者も二〇〇四年度から新たに納税義務を負わされます。

 人件費や利子、賃借料と資本金などを基準に、赤字企業にも課税する外形標準課税の導入も決まりました。赤字に苦しむ中小企業でも資本金が一億円を超せば法人事業税がかかります。

 今年度は見送った発泡酒やたばこの税率引き上げも来年度に強行されます。

 これでも増税スケジュールはまだ入り口です。ざっと見ただけでも、個人所得税の各種控除のいっそうの縮小、消費税率の引き上げ、外形標準課税の対象拡大などが控えています。

 小泉内閣は、財政がきびしいから「税収中立」にするといいます。減税は大企業に、増税は庶民にという「中立」ではたまりません。不況の中だからこそ、国民の暮らしと中小企業の営業を守ることが、景気回復への何よりの近道です。(石井光次郎記者)


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