2002年12月16日(月)「しんぶん赤旗」
受験競争。就職難。せっかく入った会社の労働条件はめちゃくちゃ。フリーターでは将来が不安……。そんな現実をなんとかしたいけれど、どうしたらいいのか。みんなの悩みにこたえようとしているのが、日本民主青年同盟です。「青年はみんな二十一世紀を担う仲間」という新委員長、姫井二郎さん(31)に語ってもらいました。
――青年の模索にこたえ、いっしょに学んで成長しよう、とよびかけていますね。
姫井 はい。民青同盟員自身もそうですが、多くの青年が「自分らしく生きたい」「自分を認めてほしい」「平和な世界にしたい」という願いをもっています。
しかし一方で、就職、仕事、勉強、生き方、どれをとっても、青年をとりまく現実は深刻です。前向きな願いをもちながらも、「どうしたらいいのか」と悩んでしまう。相談相手が見つからず、「うまくいかないのは自分のせいだ」と考えてしまう人もたくさんいます。
そんな人たちといっしょに考えながら、胸をはって生きていける社会をつくりたい。民青同盟は「こんな社会は変えられない」とあきらめてしまうのではなく、「いっしょに学びながら、社会を変えていこう」と呼びかけているんです。
――具体的にどんな活動をしているんですか。
姫井 たとえば、深刻な就職難や職場の労働条件を改善していこうというとりくみがあります。何社回っても就職できないと、人間性を否定されたような気分になってしまう。長時間過密労働でくたくたになっていても、「首になるよりマシ」とあきらめてしまう。多くの青年は、自分自身に働く権利があることさえ知らされていないんです。
民青同盟は各地で「青年サポート委員会」をつくり、職場の愚痴や悩みを話し合ったり、路上で労働相談をしたり、自治体などに就職難の改善を要請したり、労働アンケートを集めたり、多彩な活動をしています。
その活動を通じて「就職できないのは自分自身の能力のせいだけではなく、そもそも仕事がないことが原因なんだと分かった」「サービス残業(ただ働き)は法律違反なんだ」「声をあげたら未払い賃金を払ってもらえた」と、いろいろわかってくる。同盟員自身も成長していくんです。
――視野が広がるんですね。
姫井 そうなんです。不登校や荒れ、ひきこもりなども、「自分は社会に必要とされていないんじゃないか」と思うことから始まってしまうケースが多い。実際に民青同盟に入った人のなかにも、そういう経験を持っていた青年がいます。
その人たちがどうして前向きになれたのかというと、ともに学んでいける民青同盟と出合えたからです。
高校生の「試験対策勉強会」も、歓迎されています。受験競争のなかで「勉強を楽しいと思ったことがない」という人が多い。「友達はみんな競争相手」と思っている人もいる。「分からないことを分かるまで勉強する」という経験も少ないんですね。「勉強ができないのは自分の頭が悪いからだ」と自信をなくしてしまう。
でも、それは違うんですよ。試験対策勉強会では、地域や大学生の同盟員がその人が分かるようになるまで教える。そうすると、高校生が「勉強が楽しいものなんだって分かった」と変わっていく。ここにも悩みにこたえ、「仲間」といっしょに成長していく民青同盟の魅力が現れていると思います。
――「科学の目」ということも強調していますね。
姫井 はい。民青同盟は、日本共産党の知恵と力を借りながら、科学的社会主義と日本共産党綱領を学んでいます。いま起きていることを事実にもとづいてみきわめながら、自分の要求や苦しみの大もとを理解して解決の道筋を考える。どう生きたらいいのかの展望をつかむ。これが「科学の目」ということなんです。
「科学の目講座」と銘打って、ユニークなとりくみがいろいろやられているんですよ。「考えよう、私たちの未来と日本経済」「環境問題をどう解決するか」「ハンセン病のたたかいから社会進歩を考える」「ブラックホールの秘密と科学的社会主義」「日本共産党員の生き方に学ぶ」とかね。
自分の夢や生きがいと社会を変える展望が結びついたとき、青年は大きな力を発揮するんですよ。
――平和のとりくみがまさにそうですね。
姫井 「平和がいちばん」は青年に共通する願いです。アメリカのイラク攻撃に反対する運動が各地でとりくまれています。9・11同時多発テロと報復戦争、有事法制の動きに対し、ピースウオークやピースライブなどが、ここ数年なかった規模で全国に広がりました。
ライブではストリートミュージシャンに声をかけて出演をお願いしたり、市長にメッセージをもらったりした経験が全国大会(十一月末)で報告されました。そうした一人ひとりの頑張りの結果、有事法案を継続審議に追いこんでいます。ここには平和を願う青年のエネルギーがよく現れていると思います。
――姫井さんは、阪神・淡路大震災(一九九五年一月)のとき、兵庫県委員長でしたね。
姫井 当時、僕も含めて、家が壊れたりして自分自身が被災者になった同盟員がたくさんいました。水がなく、交通手段もマヒしたなかで、水をくむのに五時間、フロに入るのに三時間。毎日くたくたになるような生活が続いたんですね。それにもかかわらず、モチつき大会や炊き出しをしたり、「すいてる銭湯情報」などを載せたミニコミビラを配ったりしていました。
全国から駆けつけたボランティアの青年が、被災者に「ありがとう」と言われて涙を流しているシーンを何度も見ましたよ。「自分が人の役に立つ」ということを実感したんですね。
もう一つ、民青同盟の役割ということでは、震災後、被災した学生のため、大学や高校の学費免除を自治体に働きかけたんです。その動きが広がって、国からも含めて全体で三十億円くらいの援助が出て、授業料が免除されました。民青同盟が声をあげたからこそだと思います。
――すごいですね。
姫井 ええ、民青同盟は青年のどんな要求にも応えられるんだと確信になりました。
全国の若い皆さんには、ぜひ民青同盟に入って、いっしょに学んで成長していこう、と呼びかけたいですね。
「一口五百円の集会カンパにご協力をお願いしまーす!」。ロビーに若い女性の声が響きます。十三日、東京・渋谷公会堂に二千人が集まった「戦争はイヤだ・これが市民の声だ 12・13集会・デモ」。めまぐるしく動き回るスタッフに、青年の姿が目立ちました。
忙しく指示を出していたのは、大学生の高野雄太さん(20)。十人ほどの青年スタッフは高野さんの友人でした。「人脈をフルに使って七十人くらいに声をかけました」
集会を知ったのは、予備校時代の恩師が声をかけてくれたから。十一月三十日の記者会見の一週間ほど前から事務局に加わりました。
「イデオロギーを超えて『人を殺す』という行為自体がまずいという思いがあります。いい機会だと参加しました」
若い人にもっと来てほしいと知り合いに次々声をかけました。イラク攻撃について、「今の若い人は政治に対して遠慮しがち。よく分からず、対岸の火事と見ている人も多い」といいます。
「アメリカがイラクを攻撃すると、なんの罪もない一般の人が殺される。自分の身の回りにそんなことが起きたらどう思う?」。高野さんは一人ひとりに問いかけていきました。多くの友人が「がんばれよ」と声をかけてくれます。話して納得して「とりあえずやってみるか」と事務局に加わる友人も生まれました。
高野さんには信念があります。
「ダメでいいから声をかける。そうすると、『何も変わらない』と思っている人も必ず変化していきます。若い人が参加する運動には、未来があると思うんです。なにより、変えていくのは自分自身なんですよね」。にこっと笑いました。
集会は作家の小田実氏らが呼びかけたもの。日本共産党の志位和夫委員長もあいさつしました。
集会に参加した人はどう感じたのでしょう。
パネリストの山口幸夫さん(原子力資料情報室共同代表)の講義で集会を知り、「新聞やニュースだけでなく、実際に会場に足を運んで、今起きてる現実を把握しておきたい」と参加した飯田淳史さん(20)=大学生=は、「戦争は基本的に反対です。でも、日本は物資補給などでアメリカに援助している。戦争に間接的にかかわっていることになりますよね。政府には反対の立場を明らかにしてほしいですね」。
「こういう集会は初めて」という内山隆さん(36)は「いろんな立場の人たちが垣根をこえて集まった。この力をもっと大きくすればイラク攻撃もきっと止められる」。
東京都内の高校生、藤原純也さん(18)は、「デモとか、どういう感じなのかなと思って」参加しました。「アフガニスタンで、罪のない人が死んでいるんですよね。爆撃で家をなくした人が、なんの補償もされていないと聞いています。『人の命を大切にする』、単純かもしれないけど、すなおに共感できました」
投稿募集中。感想や意見、身のまわりのできごと、なんでも教えてください。投稿はメールかはがきでお願いします。
メールアドレス upress@jcp.or.jp
〒151−8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4の26の7 赤旗編集局「ゆうPRESS」係
次回の「ゆうPRESS」は、2003年1月6日(月曜日)の予定です。