2002年12月15日(日)「しんぶん赤旗」
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小泉内閣の不良債権処理加速策を実施に移せば、三年間で百九十三万人の離職者が発生する――こんな試算をした研究論文を内閣府が十四日までに公表しました。
同研究論文は、「不良債権問題を二〇〇四年度で終結させる」という小泉内閣の当初方針にもとづいてまず試算。大手銀行の「破たん懸念先」以下の不良債権を一年目で五割、二年目で八割、三年目ですべて最終処理すると、離職者が三年間で百十七万六千人発生します。
さらに、不良債権処理の加速策(十月三十日に決めた『金融再生プログラム』)は、不良債権最終処理の対象を「要管理先債権以下」まで広げています。この「加速」策にそって「要管理先債権以下」の不良債権の最終処理をすすめると、三年間で百九十三万人の離職者が発生するとしています。
ところが、同研究論文は、離職しても「就職したり、非労働力化することもあり得る」として失業者数を別に試算。
たとえば「要管理先以下」の不良債権を最終処理する場合一年目は離職者は六十五万三千人発生するものの、失業者は二十二万二千人にとどまるとしています。
東京新聞十四日付は「失業者が最大六十万人増加する」とした研究論文の予測が、「竹中平蔵金融・経済財政担当相や金融庁の反対で削除」され、二十二万人となったと報じています。