2002年12月11日(水)「しんぶん赤旗」
名古屋刑務所の刑務官による集団暴行事件で、日本共産党の井上哲士参院議員は、十日の法務委員会で「五月の死亡事件後、法務省の適切な対処があれば、九月の事件は避けられた」と同省の対応の甘さについてただしました。
井上氏は、保護房での受刑者の死亡事件が名古屋刑務所で二件(一九九九年から四年間)、保護房収容時の革手錠使用件数が、収容百九十九件のうち、百四十八件(本年九月末)と同刑務所が突出して多いことを指摘。「重大な人権侵害の疑いがある異常事態だ。現地調査をしたのか」と追及しました。
中井憲治矯正局長は五月の死亡事件後「本省が現地調査をしたとは聞いていない」と答弁。異常な革手錠の使用状況についても「九月の致傷事件後の調査で知った」と、対応の遅れを浮き彫りにしました。また、革手錠について井上氏は「国連で禁止している『枷(かせ)』にあたる」と廃止を求めたのに対して、中井氏は「七十年以上使われてきた実績があるうえ、金属手錠しか残らなくなる」として、抜本的再発防止策のなかで検討すると答弁しました。