2002年12月11日(水)「しんぶん赤旗」
熊本県の潮谷義子知事は十日の県議会本会議で、球磨川に設置された県営荒瀬ダム(坂本村)の撤去を公式に表明しました。
代替ダムを建設することなく完全に撤去するのは全国でも初めて。
荒瀬ダムは、水利権使用免許の期限(五十年)が、来年三月末で切れます。地元の坂本村民や八代海沿岸の三十七漁協からは、同ダムによる水質悪化などを理由に、「環境復元のためにもダムを撤去してほしい」との要望が出され、坂本村議会でも全会一致で継続反対の請願が採択されていました。
潮谷知事は、(1)点検費用や電力収入を考慮すると十年を超える事業は困難(2)撤去費用に約四十七億円が見込まれるが、六年間発電を継続した場合の収益で、撤去費用のねん出が見込める(3)九州電力との契約が七年残っているなどを指摘。水利権を七年更新して「二〇一〇年三月三十一日の後ただちに撤去に入りたい」と表明。国への援助要請や九電との交渉も、少しでも撤去が早くなるように努めたいとのべました。
川辺川ダム反対を訴えている「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会」の中島康代表(62)は「川辺川ダム建設の免罪符にならないように願う」とクギをさしながらも、「全国のダム撤去にも大きな弾みになると思うし、現在計画中のダムにも大きな影響を与えるものと期待します」と語っています。
荒瀬ダムは球磨川に最初に建設され、河口から約十三キロメートルに位置する発電専用ダム。五四年に運転を開始し、年間七千四百万キロワット時の電力を供給しています。