2002年12月8日(日)「しんぶん赤旗」
原子力発電所の定期検査期間短縮のため、東京電力が請け負った業者に報奨金を支払っていたことがこのほど判明。東電の損傷隠しなどの不正事件とのかかわりにも疑惑の目がむけられ、「損傷隠しの報酬ではないのか」「安全より利益優先の体質のあらわれ」と、怒りを呼んでいます。
定期検査期間の短縮の報酬支払いが、公然と制度化されたのは一九九七年四月。東京電力広報部によると、定期検査作業を請け負う日立などのプラントメーカーなどに、日数短縮の幅や貢献度に応じて報酬を設定。福島、新潟両県の三原発十七基で行われた二十八回の定期検査で、約三十七億一千万円が実際に支払われました。内訳は、新潟県柏崎刈羽原発がもっとも多く約十八億円。福島第一原発が約九億円、第二原発が約十億円。
合わせて四百六十日短縮したといいます。
原発を一日止めると「約一億円の損失」(同広報部)といわれ、安全よりもうけ最優先の体質をあらわす同制度。同社広報部は「期間短縮幅は、新技術導入などの提案に基づき作業開始前に決定する。(損傷隠ぺい、不正事件など)手抜きを認めるものではない」と釈明。
しかし、国が実施する定期検査の期間短縮に成功した作業請負業者に報酬を支払っていた問題が取り上げられた十一月二十七日の衆院経済産業委員会で、平沼赳夫経産相は「(同社による)虚偽報告につながる素地になった可能性は十分にある」と表明しました。
早川篤雄・原発の安全を求める福島県連絡会代表の話 次々と明らかになる損傷隠しや不正に、満身の怒りで言葉を失う。これだけ隠ぺいを重ね、一連の不正事件の根の深さ、安全よりも利益優先の体質をはっきりと証明するもの。住民代表や住民が推薦する科学者が入った第三者機関による調査や、推進から独立した規制機関を設置し、安全を確保する体制をとらせることがますます大事になっている。