2002年12月6日(金)「しんぶん赤旗」
沖縄本島でおこった外国籍女性への暴行未遂事件。米政府は五日、都内で開かれた日米合同委員会で、三日に逮捕状がでていた米海兵隊キャンプ・コートニー所属少佐の起訴前の身柄引き渡しを拒否しました。一九九五年の少女暴行事件を機に、殺人、婦女暴行などの凶悪事件について、日本が起訴前に身柄の引き渡しを求めれば「米側は好意的配慮を払う」ことで日米政府が合意しているにもかかわらず、これを拒否する米軍の理不尽な態度に、「占領意識丸出しではないか」などと県民の怒りの声が広がっています。
昨年六月におこった、米兵による二十代女性への暴行事件では、米側が身柄の引き渡しを渋り、四日間も逮捕状の執行ができませんでした。これをうけ、沖縄県議会は、日米地位協定を盾に被疑者の身柄引き渡しを拒否する米軍に対し、「直ちに身柄を引き渡すとともに、日米地位協定を抜本的に改定すること」を求める抗議決議を全会一致で可決しています。
「地位協定の抜本的な改定は県民の総意だ」と強調するのは、沖縄基地問題に詳しい加藤裕弁護士。加藤氏は、「駐留米兵だけに特権を与える現在の地位協定は日本の主権への侵害。日米地位協定の運用改善では、身柄の引き渡しは米軍の意向しだいであることが、今回の事件でも示された」と指摘します。
安保破棄・くらしと民主主義を守る沖縄県統一行動連絡会議の山川恵一代表幹事は、「日米地位協定の運用改善や県内基地たらい回しの『SACO(日米特別行動委員会)合意』では米軍の事件・事故をなくすことはできません。米軍基地の撤去と、日米地位協定の見直しは、待ったなしの課題です。一日も早い実現のために県民との共同を広げたい」と語りました。