2002年12月4日(水)「しんぶん赤旗」
小泉内閣は三日夕、今後のコメ政策である「コメ政策改革大綱」を決定しました。
これは、先月二十九日の食糧庁「生産調整研究会」の最終報告に沿ったもので、国産米の需給や価格安定などから、政府が基本的に手を引く方向です。
「大綱」は冒頭、「政策経費の思い切った縮減」が目的であると財政支出の大幅削減が狙いであることを露骨に表明しています。
そのうえで、「コメづくりの本来あるべき姿」である(1)食用、加工・飼料用など「需要」に応じた安い米価で供給する(2)減反などの生産調整は農家や農業団体が自分たちで基本的におこない、政府は配分達成に責任を持たない(3)一部の大規模経営体(農家など)だけが生産を担う生産構造にする―ことを二〇一〇年までに実現するとしています。
また、「転作助成金」や「稲作経営安定対策」など現行の助成措置を廃止し、「産地づくり推進交付金」を「あるべき姿」の実現までの経過措置として実施するとしていますが、助成内容は縮小の方向です。
また、国主導のコメの生産調整(減反)については、早ければ二〇〇七年度、遅くとも二〇〇八年度に廃止するとしました。
三日に政府が決定した「コメ政策改革大綱」は、国主導の生産調整(減反)配分を廃止し、農業者の責任としました。また、これまでの生産面積を示すやり方を、生産数量を示すやり方に変更します。二日、来年の減反目標を五万ヘクタール増やすとしましたが、このやり方では事実上、減反強化になるのは必至です。農家の苦境を打開することにはなりません。
しかも、これまでの減反助成措置は縮小、農家の拠出割合も増やそうとしています。
ただ、農協などの強い反発もあって、「大綱」には生産調整で「国および地方公共団体の役割を食糧法上明確に位置付ける」という文章が挿入され、具体的な国などの関与策は、国や農業団体の関係者らによる作業チームで検討するとしています。
また、新たに設けるとしている「担い手経営安定対策」は、北海道十ヘクタール、都府県四ヘクタール以上の認定農業者と、二十ヘクタール以上の集落の共同組織だけを対象としています。これは、百七十四万戸ある稲作農家の2%程度でしかなく、大多数農家と産地を切り捨てる露骨な削減策です。
こうした小泉内閣の徹底したコメつぶし・農業つぶしの施策にきっぱり反対し、日本共産党が主張するように、農業を国の基幹産業に位置付け、コメを基本に農業生産を多面的に発展させる方向に政治を転換させることが求められています。(今田真人記者)